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アナホラの山のふもとで。

ミノリ・K・エバンズ
フラシスターで当学校の校長イポ

 カウアイ島、東海岸の北に「アナホラ」という場所がある。島の住人が「カラレア」と呼んでいるアナホラ・マウンテンに見守られる形で、山のふもとから集落があり、ハイウエイを隔ててアナホラ・ビーチへと続く一帯。カウアイの美しさに満ち満ちた、風景も、そこに流れるエネルギーもとてもステキなところだ。その一画にハワイアン・スクール「KANUIKAPONO Public Charter School」がある。1年に1度行なわれる、そのハワイアン・スクールの「ホイケ(発表会)」に出かけてきた。現在、イポという私たちのフラシスターが校長を努めるこの学校は、5年前に、私たちのクム・フラ、プナや、ミュージシャンとしても有名なカイナニ・カハウナヘレなどによって創立された。「5年前、私たちがこの学校を始めようとした時には、この大地には1本の木も植えられていませんでした。ただただ芝生だけがある土地...いえ、芝生さえなかったかな」そんなイポの言葉でホイケは始まった。続いて、ホラ貝を2名の生徒が鳴らして、ホイケが始まった。ポハク(石)で縁取られた、土のステージに生徒たちが集まる。背後にはそれを暖かく支えるようにカラレアの山がそびえて、青い空が広がっている。赤土のステージの周りを、みんなのマナ(想い)がこもった緑が青々と囲み、なんとも美しい風景である。

カラレアの唄を生徒たち全員で踊る

 最初のお披露目は、生徒たちがみんなで作った詩に、私たちのクム、プナが節をつけたチャントから。イポがマイクを通じて子供たちと私たち観衆に呼びかける。「この詩は生徒の何人かによって作られた、ケアリア(アナホラと同じ東海岸にあるビーチ)を唄ったものです。みんなが見て感じて、この詩の中に書いた風景は、あなたたちの子供や孫の時代には、きっとそのままの姿では残っていないでしょう。だから、この詩を作ってくれた仲間に感謝をして、この詩の中に唄われている風景をしっかりと心の中に記憶して、あなたたちの子供の世代に伝えてほしい。しっかりと気持ちを込めてチャントをしましょうね」と。実際に、詩に唄われているビーチでは、今まさに工事が行なわれ、コンクリート製の屋根がついたピクニックテーブルが作られ、日々、その姿を変えていっている。私は他の土地からここに移住してきた他所(よそ)の人間だから、ここで生まれ育った彼女たちと、その気持ちを共有しきることはきっとできないだろう。それでもカウアイ島が大好きで、ここに暮らせるシアワセを噛み締めている者の1人として、イポの呼びかけが、気持ちにチクチクと刺さったのである。生徒たちのチャントやフラは素朴でどれも見ていて気持ちがよく、ほほえましい。ホイケの前に一緒に練習に参加した曲もあったりして、なんだか家族のような気持ちになってステージを見ていた私であった。

カラレアを背景に作られたステージ

 カラレアの山と、アナホラの海のちょうど中間にある小さな学校。いま、この場所には、たくさんの樹木が茂り、タロイモがなり、フィッシュポンドができ、畑には青々とした新鮮な野菜が育っている。みんな、教師と生徒たちが育てたものだ。「KANUIKAPONO Public Charter School」のカリキュラムはとてもユニークである。この学校に集う子供たちは、現代のアメリカの学校で用いられるカリキュラムに加え、ハワイ語やフラなどのハワイ文化を学び、タロイモや野菜の苗を植え、収穫もする。頭で学び、身体で学び、周囲の自然に溶け込みながら、ハワイアンとしてこれから自分たちが何をすべきかを、それぞれが感じとっていく。以前、私たち夫婦と一緒に暮らし、教師を目指していたジェシカは「私にとっての理想的な教育の在り方が、あそこにはある」とよく言っていたものだ。ほんの稀に、授業を垣間みる機会がある。それから、私たちのクム・フラが創立者の1人として深く関わっていることもあって、子供たちと一緒にキャンプをしたり、フラのプログラムに一緒に参加する機会もある。私は、「KANUIKAPONO」の子供たち、それからその周囲を固める先生たちや、ボランティアでスタッフをしているOBたちと触れられる、そんな機会が大好きである。学校を運営している大人たちの主要メンバーは、私と同じ世代で、彼女、彼らには「次の世代に伝えていくもの」という明確なビジョンがある。そして、それらの活動に使命と責任を感じ、それを実施している。そんな彼女、彼らの気持ちには、ドンと大地に根づいた「軸」のようなものがある。その「軸」によって、彼女、彼らの目はいつも強い光を放っているし、ピンと背筋が伸びてもいる。その視線や背筋の中に、私はいつも生命力を感じる。そしてもしかしたら「自分(たち)が失ってしまったもの」と思い込んでいる、次の世代に受け継いでいくものが、自分の手の中にもちゃんとあるのではないか、それをちゃんと探してみたいと、思わせてもくれる。

衣装もレイも、生徒の手作り

 この島に移住して6年目を迎える私であるが、ちょうど時を同じくして「KANUIKAPONO」は創立されたことになる。将来の見えない小さな苗木同然だった、この山と海に挟まれた小さな学校は、何もなかった大地に、いまこうして青々と樹木が茂り、確実に実をたわわにつける大木へと成長を続けている。同様に私がこの6年間でこの島から享受したものも、私の中の中で確実に成長し、私とこの大地をつないでくれているのでもあろう。何気ない時間の中で、こうして大切なことを気づかせてくれる瞬間、瞬間の連続が私のカウアイでの毎日を作ってくれている。そんなことに改めて感謝をしたアナホラの夕暮れであったのだ。


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