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ダイヤモンドヘッドに登ろう (1)
近藤純夫
はじめに


カピオラニ公園近くからみた山頂付近
 ハワイと聞いて思い浮かべるものはなんでしょう? ワイキキとダイヤモンドヘッドというのが、ほぼ一致する意見ではないでしょうか。それほどよく知られたダイヤモンドヘッドですが、登った人は意外に少ないようです。遠目にも迫力のある姿のせいか、登山は大変だと思っているのかもしれません。山の高さはわずかに232メートル。トレイルもほとんどが舗装されているので、お年寄りや子どもたちも気軽に登れます。それに、ちょっとした探検気分も味わえるんですよ。そこで、この山をいろいろな視点から眺めてみることにしました。


山ができるまでの話

 ダイヤモンドヘッドの話をするまえに、ハワイの島の特徴をちょっとだけお話ししましょう。ハワイ諸島には大きな島が8つありますが、それらはすべて火山の活動でできたものです。ハワイ島へ行ったことのある人は知っているでしょうが、あの島ではいまもプウオウオウという火山から真っ赤な熔岩が流れ出しています。島が成長をつづけているのです。オアフ島もかつてはハワイ島と同じようにいくつもの火山が噴火していました。


ホノルル周辺の主なクレーター一覧。全部で30以上ある
 なかでもホノルルは火山銀座と言ってよいほど、多くの火山が集まっています。ホノルルの北に連なる山並みはコオラウ山脈ですが、この山脈は西のワイアナエ山脈とともに、オアフ島を形成した巨大火山の跡なのです。ココヘッド・クレーター(ノノウラ)、ココ・クレーター(コヘレペレペ)、ソルトレイク・クレーター(アリアマヌ)、それからハナウマ湾も噴火口の跡なんです。それ以外にも、パンチボールやマノア渓谷、カイムキの北の丘などがありますが、これらは噴石丘(*噴火のときに噴き出した石が積もってできた丘)の跡です。ホノルル周辺にはなんと30ほどのクレーターがあるのですが、これほど多いと、火山があるというより、火山の密集地帯にホノルルの町があると言ってもいいほどです。


上から見るとクレーターの様子がよくわかるパンチボール
 これらの噴火跡のうち、もっとも古い噴火は400万年近くも前のものですが、新しい熔岩を流した火口のひとつはわずか5000年ほどしか経っていません。オアフ島ではまたいつ火山活動があってもおかしくないということです。ただし、いきなり噴火が起きることはありませんのでご心配なく。ちなみに、今回ご紹介するダイヤモンドヘッドは活動を停止して15万年が経っています。

 さて、ダイヤモンドヘッドはどのようにして出現したのでしょう? それは上空からこの火山を見るとよくわかります。ほぼ真円に近いクレーターは、均等な力が働いて山頂を吹き飛ばしたことを物語っています。噴火は海岸近くで起きたため、顔を現したマグマは激しく海水と接触して水蒸気爆発を起こしたのです。200メートルほどしかない高さに対して、火口の直径が1キロメートルもあるのはそのせいです。



山頂付近の縞模様が
よく観察できる

ほぼ円形をしたダイヤモンドヘッドのクレーター
 この火山では不思議なことが起きました。いま見える尾根の部分は、かつて渓で、渓の部分は尾根だったのです。爆発のときに降り積もった火山灰は雨や風ですぐに浸食されます。最初にできた渓の部分は、土砂の流入などで圧縮されて地盤が安定しますが、尾根の部分は周辺を削り取られただけですからとても不安定でした。やがてこの尾根の部分が削り取られていって、ついには最初の渓部分よりも低くなり、尾根と渓が逆転してしまったのです。山は動かないものというイメージがずいぶん変わってしまいますね。


人と山の関わり

 ワイキキの東の外れにそびえ立つダイヤモンドヘッドは、かつてハワイアンにレアヒ()と呼ばれていました。「まぐろの額」という意味なのですが、マグロはいまでもアヒと、ハワイ語で呼ばれています。マヒマヒ(シイラ)とともに、ハワイではもっともポピュラーな魚のひとつです。ところで、なぜそんな名がついたのでしょう。遠くからこの火山を眺めると、なんとなくマグロに似ている…と思いませんか?


かつて漁師は山頂から魚の群を確認した
 名前の由来はもうひとつあります。かつてハワイアンはこの山の頂から魚群を追ったのです。山頂から見下ろすとわかりますが、海面が凪いでいると、じつによく海のなかを見渡せます。漁師が山登りをするなんて、ちょっと意外な取り合わせですね。

 1800年代に英国の水夫たちがこの山を登ったとき、彼らはこの火山にダイヤモンドヘッドという名前をつけました。さて、その理由は…。じつは火口付近には方解石(*ガラスのような光沢のある鉱物)があるのですが、この鉱物がきらきらと輝いているのをみつけて、彼らはダイヤモンドがあると思ったのでした。今日の名前には自嘲の意味もこめられているということです。でも、ピカピカした石を発見すれば、だれだって一瞬そう思うかもしれませんから、彼らのことを笑うわけにはいきませんよね。


戦時に備えたトーチカとしての役割をもつ
 1898年にアメリカがハワイを併合したとき、湾の防衛は重要な使命でした。軍はいくつかの要塞を作ったのですが、そのうちのひとつが、トレイルの終わり近くにあるフォート・ルーガーで、1910年に完成しました。海側に小さな穴が開口いているだけのこの地下空間は、外敵に対してほとんど完全に隠された要塞として使用されることになったのです。ということで、この山はいまも軍の管轄下という特殊な環境にあります。

アプローチ

クレーターの内と外をつなぐトンネル
 ワイキキからは、カラカウア通りに沿って東へ行き、ホノルル動物園角のモンサラット通りとの交差で左折。ダイヤモンドヘッドロードを2キロメートルほど行きます。バスで出かける場合は、22番か58番っです。ただし、22番はハナウマ湾へ行く観光客で混んでいる可能性が高いので、58番を利用したほうがいいでしょう。マカプウ・アベニューを過ぎたところにあるバス停で下車すれば、登山道の入口までおよそ15分です。車の場合は山を取り巻くダイヤモンドヘッド・ロードの北側にあるカピオラニ・コミュニティー・カレッジの向かいにある道を入り、クレーター内の駐車場に車を停めます。
周辺情報


サンゴ礁の海とダイヤモンドヘッド灯台
ダイヤモンドヘッド灯台:ダイヤモンドヘッドロードに面しています。灯台からダイヤモンドヘッドを見上げてみましょう。

クィーン・カピオラニ・ローズ・ガーデン:意外と知られていない公園ですが、アラワイ運河の東の端からすぐです。ここからダイヤモンドヘッドの山頂がよく見えます。

 次回はダイヤモンドヘッド登山のトレイルガイドです。お楽しみに!


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