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花物語(3)オヒアレフア
近藤純夫

オヒアレフアの蜜をもとめて野鳥が集う

 オヒアはフトモモ科オガサワラフトモモ属の一種で、ムニンフトモモとも呼ばれます。同じフトモモ科にはユーカリやカユプテ、グァバなどがあります。いずれもハワイ諸島ではよく見かける木ですが、オヒア(ハワイフトモモ)以外は人の手によって持ちこまれた外来種です。オヒアは人がハワイへやって来る前からこの地にありましたが、フィリピンや小笠原、ニュージーランドを含む太平洋一帯に分布しています。ちなみにムニンというのは、小笠原の固有植物につけられる学名で、ハワイと小笠原の植物には多くの共通性があることが知られています。

アラカイ湿原手前のトレイル。樹高は10m近い

 オヒアはハワイの原生林の主役を務める木のひとつですが、枯れ木のような外観につける小さな赤い花(オヒアレフア)はとても印象的です。一般にはレイの花としての方がよく知られています。赤く長い部分はおしべで、赤色のほかに黄色や白色もあります。花にはとても小さな種子がつき、風に乗ってかなり遠くまで飛ばされます。


アラカイ湿原入口付近。樹高は5m以下のものが多い

 オヒアの木は、生育する環境によって大きく外観を変えます。カウアイ島のアラカイ湿原を例にあげると、湿原に至る途中の森では樹高が10メートル近くあるものが、次第に低くなっていきます。湿原地帯では灌木と言っていいほどで、樹高もせいぜい50cmほどしかありません。また、丈の高いオヒアは葉は薄くツルツルとしていますが、湿原地帯のオヒアは葉は小型ながら分厚く、裏側には毛が密生しています。


湿原に育つオヒア。樹高はせいぜい50cmほど

 なぜ、オヒアはハワイ諸島全土を席巻するほど繁殖したのでしょう(*ニイハウ島とカホオラヴェ島を除きます)。それは過酷な環境で抜群の生命力を発揮するからです。溶岩が流れたあとの黒々とした平原に最初に根づくのは、ふつう地衣類やコケ類です。ハワイ諸島の溶岩平原では溶岩にカビが生えたような模様を見つけることができるはずです。その後、岩の割れ目にクプクプ(タマシダ)などが出現しますが、それとともにオヒアも芽吹きます。


オヒアの森。平均樹高は20m近い

 オヒアは陽樹といって、光をいっぱい必要とする植物です。これは、オヒアの森を一時的なものにする原因にもなります。というのは、もしオヒアが成長して森林をつくると、地表(林床と言います)には十分な光が届かなくなります。つまり、オヒアは子孫をそこに宿す環境を失うことになるのです。そこにはシダや、陽の光を陽樹ほどには必要としない陰樹が生育しはじめます(*ハワイではたとえばコーヒーの木が知られています)。このようにして、ひとつの土地は一定の時間的推移のもと、安定的な植物相(フローラ)が完成するまで、そのときにもっとも適した植物が次の植物へとバトンタッチするように代わっていきます(*最初に出現した植生を初期相、種の変化が起きる期間を遷移相、最終的に安定した植生を極相と言います)。


火山国立公園内のオヒアとシダの森

 オヒアは初期相に出現する植物ですから、本来ならば一度森林を形成したあと、陰樹にバトンタッチすることになるはずですが、絶海の孤島であるハワイ諸島では、人間がやってくるまで植物の種類はそれほど多様ではありませんでした。ハワイ諸島にはバトンを引き継ぐ十分な陰樹がなかったのです。では子孫はどのように繁栄させたのでしょうか。次回はなぜオヒアは生き延びたのかという話と、オヒアにまつわる神話をお話しします。

>> 過去の特集は、こちらでご覧いただけます。


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