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タロイモ堀りで感じたリアル・ハワイ 比嘉景子
ヌアヌ・パリ展望台から望むカネオヘ湾

 今年1月にリゾートクエスト・ハワイ(現アストン・ホテルズ&リゾート)の会議に出席するためオアフ島に行った際、ハワイの豊かな文化を学び、アロハ・スピリットを持ってゲストをもてなそう!という目的で、「リアル・ハワイを体験する日」が設けられていました。実は、私にとってこれが人生初のハワイ訪問だったのですが、会議期間中は、日中は冷房の効いた会議室で時間を過ごし、夜はワイキキのカラカウア通りをぶらぶら散歩する程度のハワイ体験しかしていなかったので、今回のハワイ出張が決まった時からずっと楽しみにしていた日です。参加者はホノルル・オフィスのスタッフと、われわれ海外からの会議出席者の合計約40人。まず、朝7時30分にオフィスにて集合。皆で朝ご飯を食べてからバスに乗り込みました。

 この日のコースは、ヌアヌ・パリの展望台、ワイアホレでのタロイモ掘り体験、最後はカネオヘにあるフィッシュ・ポンド(古代ハワイの養殖池)見学でしたが、今回は中でも一番印象に残ったタロイモ掘りについて皆さんにお話したいと思います。

 眠い目をこすりながらバスに乗車し、それぞれが座席につくと、移動時間を利用して農園とフィッシュ・ポンドに入る際に唱えるオリの練習が始まりました。ハワイでは、昔から誰かの家など所有地に入る際にオリを唱え敬意を示す習慣があります。このオリはハワイの自然の素晴らしさを歌ったもので、相手がウェルカムのオリを返して迎え入れてくれると、お土産を渡して中に入ったそうです。私たちが練習したオリもとても興味深いものでした。

  Ola i ka hā
Ola i Ka wai
Ola i ka ʻī
Hāwaiʻī, Hāwaiʻī, Hāwaiʻī
Wakea ka Iani
Papa ka honua
No ka luna ko luna
No ka lalo ko lalo
O ka pono no ia e
E ola kākou a mau loa e
呼吸の中に生命が宿り、
水にも生命が宿る。
神の中に命がある。
ハワイ、ハワイ、ハワイ。
空なる父・ワケアよ。
地の母・パパよ。
上に属すものは、上に属し、
下に属すものは、下に属す。
それが、自然界の秩序。
私達に永遠の命があるように

オリを唱え、お土産を捧げる

 このオリに登場するワケア神とパパ神からハワイの島々が産まれたという神話があり、また、二人の間に産まれた最初の子供・ハロアは未熟児で、悲しみながらその子を土に埋葬したところ、タロイモが生えてきたとも言われています。そこで、ハワイの人々はタロイモを主食とし、「タロイモとハワイ先住民は兄弟だった」という伝説が生まれました。以前、スタッフルームでも紹介したとおり、タロはハワイの人々や食文化と切っても切れない大切な存在です。ハワイに来てから、タロから作ったポイやカルア・ピッグなどの伝統的ハワイ料理を食べていなかったので、スタッフのみんなに「今日はやっと本物のハワイ料理が食べられるね〜」と言われとても楽しみにしていました。


泥だらけになりながら、タロイモ掘りに挑戦

 いよいよ、オアフ島東海岸のワイアホレに位置するファームに到着。農園主のルペンさん兄弟が迎えて下さいました。周辺には豊かな緑が広がり、ワイキキとは全く違った雰囲気があります。ここでみんな集合し、バスの中で練習してきたオリを唱えると、ルペンさんが「どうぞ、私達の農園にお入り下さい」とおっしゃってくれました。お土産を渡して改めてご挨拶をし、ファームの中に入りました。

 ルペンさんの農園はとても広く、たくさんの植物が植えてあります。途中で小川を渡りタロイモ畑までゆっくりと歩きながら進みます。辺りを見回すと、みかん、スターフルーツ、カカオ、コーヒーや色鮮やかな花々などがありました。いよいよタロイモ畑に着くと、まずルペンさんがタロイモの掘り方を詳しく教えて下さいました。水耕栽培されるタロイモにはきれいな水が欠かせません。かなり大きな水田ですが、私達が掘ることができるのは一部分だけ。ルペンさんによると、同じ畑の中にも収穫できる大きさのタロと、まだ収穫するには早すぎる小さい赤ちゃんタロがあるため、むやみに抜かず、そして、抜くときは茎の部分から引っ張るのではなく実をしっかり持って抜くようにとの説明を受けました。丹精込めて作られた大切なタロなので、失敗して傷つけてしまわないかドキドキします!

立派なタロがたくさん採れました

 さあ、説明もすべて終わっていよいよタロイモ掘りの始まり! まず、サンダルを脱いで水田に入ります。水田の底はまるでゼリーのように弾力があるので、なかなか前に進めず転びそうになってしまいます。タロイモ畑の赤土は洋服に付くとシミになって落ちないので、前日に「絶対に汚れてもいい格好で来てね!おしゃれして来ちゃだめだよ!」と言われていたこともあって、初めはみんななんとなく恐る恐るといった感じでしたが・・・、それが中に入れば入るほど面白い!! 足が土に吸い込まれそうになりながら、手探りでタロをつかみます。軽く左右に揺すってゆっくり引き上げると立派なタロが出てきました! 美しいハワイの水と、農園でのシンプルな生活を大切にしているルペンさん一家に大切育てられたタロだと思うと、とても感動しました。掘ったタロイモは実の部分を少し残して茎を切り取り、実の部分は調理し、茎の部分は再度水田で栽培します。

 この農園で採れたタロは、地元のタロ食品のお店に出荷されています。タロイモ掘りが終わった後で、水で足や腕を洗ってもやはり皮膚や爪に赤土の色が残ってしまいますが、そんなことは気にせずに思いっきり楽しむのが一番です。タロイモ掘りの次は、さつまいも畑に移動して、数年振りにさつまいも掘り体験をしました。サツマイモ掘りはおそらく幼稚園の遠足以来だったのですが、ハワイでまさかこんなに懐かしい体験ができるなんて、驚きです。

かなりボリュームのあったハワイアンフードのランチボックス

 畑仕事をしてそろそろお腹が空いたところで、みんなで輪になってランチタイムです。私達がタロイモ掘りをしている間に、スタッフが近所にあるワイアホレ・ポイ・ファクトリーというお店にランチボックスを取りに行ってくれていました。ランチボックスとライスを受け取って中を開けると、おいしそうなおかずが並んでいました。ロミロミ・サーモン、チキン・ロングライス、カルア・ピッグ、オニオン・ソテー、チリソース、デザートのハウピア、パイナップル、蒸した紫イモのスライス、そしておまちかねのポイです。

 ハワイでは、作り立てのポイを好む方と、数日置いて発酵させた酸味の強いポイを好む方がいるそうです。以前、発酵して酸っぱくなったポイに砂糖を入れて食べるという話を聞いていたので、主食といわれるものを甘くして食べるなんてちょっと気持ち悪そう、それに紫色でドロドロしているし・・・と偏見に満ちた思いで、まず一口。食べてみてびっくり、新鮮なポイは自然な味がしてとっても美味しい! 隣に座っていたロコのスタッフ達も、「今までこんなにフレッシュでクセのないポイは食べたことがない!」、「いつもは砂糖なしでは絶対食べられないのに、これはこのままでもいける!」と喜んでいました。おかずのカルア・ピッグ(こちらも味付けが濃くて美味しかった!)やオニオン・ソテーをポイに付けて食べたり、ごはんにかけてみたり色んな食べ方をしてみましたが、どれも美味しくて、「これがハワイの味なんだ〜」と感動しました。私がポイ以外で気に入ったのは、ちょうど今回のアロハカワラ版「ハワイの食卓」でも取り上げられたチキン・ロングライス。どこかで食べたことがあるような、なんだか懐かしい優しい味でした。

サツマイモもたくさん採れました

 美味しい食事を堪能した後は、ルペンさん達とハワイの自然や現在ハワイの農家が抱えている問題について語り合いました。以前は多くのタロ水田が広がっていたこの地域も、観光業に伴う開発や政府による土地の買い上げによって、どんどん減ってきているということです。多くの農家の方々が、『政府からのリースという形で耕作している農地内には住んではならないという政策』に苦しむ中で、ルペンさん一家はこの農地内に住み、昔ながらの方法で作物の世話をしています。多くの旅行者がハワイを愛することを喜びながらも、もっとハワイの自然環境を大切にして住民がハワイらしい暮らしを維持できるように協力して欲しいというのが、彼らの願いです。


農園の周辺には、昔から変わらない美しいハワイの風景が広がっていました

 最近ハワイでは、ロコの間でも、豊かなハワイ文化をもう一度見直そうといった動きがあり、学校でハワイ語のクラスや歴史の授業を行ったり、課外授業の一環としてこうした農業体験を実施したりしているそうです。お話を終え、ルペンさん達にお礼とお別れを告げて、バスまで戻りながら周りの景色や植物を改めて眺めると、ここに到着した時よりもさらに美しく見えました。これまで、ハワイと言うとワイキキでのショッピングや豪華なレストランでの食事を楽しむといったイメージしかありませんでした。もちろん、それらも楽しい思い出になりますが、さらに視野を広げて、ハワイの自然や文化、そしてそこに暮らす人々と触れ合う事も大切なのだと感じました。初めてのハワイでこれほどの素晴らしい経験ができたことに感謝をして、あの日ファームで撮った写真を見ながら「また遊びに行きたいなあ」と思っている今日この頃です。

(掲載日:2006年4月6日)

【関連記事】
> スタッフルーム「タロ(カロ)とポイ」
> ミノリのカウアイ日記「カウアイ・タロ・フェスティバル(1)」
 

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