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ローカル・ラジオ

ミノリ・K・エバンズ

これがKKCR-FMの全景。いい感じでしょ!?

 先日、トモダチのAkiちゃんから電話がかかってきた。「Minoriちゃんのトモダチ、ラジオでパーソナリティしてるんやね〜」(ちなみにAkiちゃんは関西出身)。「へっ!?」……と私。たしかに、その番組でパーソナリティをしていたというNaomiさんは私のトモダチだけれど、DJをやっているとは聞いたこともない。Naomiさん違いじゃないの、と言うと、「ちゃう、ちゃう、トモダチやって言うとった」(注釈:違う、違う、トモダチだって言ってたよ)とAkiちゃん。その翌日に今度はNaomiさんからメール。私がやってる番組に、トモダチから電話がかかってきたよ、と。聞けば、Naomiさんはローカル・ラジオ局に日本の曲をかける番組を持っていて、パーソナリティもつとめているらしい。普段、ラジオを聞く習慣がない私は、ローカル・ラジオ「KKCR」の存在は知っていたものの、日本の曲をかける番組があるなんてまったくもって知らなかった。ましてや、トモダチがそこでDJをやっているなんて知らなかった。「どんな曲をかけてるんですか〜?」と聞くと、今度、遊びにおいでよということになって、さっそく、取材に出かけてみたのだ。


ラジオ局への入り口

 Naomiさんのナビゲーションで車を北上させて、向かう先はプリンスヴィル。放送時間も迫っている状況だったこともあり、先頭をビュンビュン飛ばしていた、Naomiさんのご主人でDJパートナーのBillの車が途中、突如としてハイウエイ沿いに停まった。私たちも慌てて車を停車する。「今日、使う曲でも家に忘れてきたのかなぁ〜」と心配しつつ降車するNaomiさんについて車を出ると、2〜3mの椰子の木が数本、そこに転がっていて「It's Free!(タダ!)」の札が貼ってある。どうやらBillは急ぐ最中にもめざとくそれらを見つけたらしく、それらの椰子の木をボンボンっと車に積み始めた。「ああ、忘れものじゃなくて良かった」とNaomiさん。「あれだけスピード出して走りながら、よくそんなものを見つけることだ」と私。島では時々、こうしていろいろなものが道端などに放出されていて、運良く欲しかったものに遭遇できる場合もある。いいシステムだ。ともかく約1分後、椰子の木でいっぱいになったBillの車のあとについてまたプリンスヴィルを目指し始めた。


KKCRのステッカー

 プリンスヴィルというと、カウアイでは「ハイソ」なエリア。プリンスヴィル・ホテルを始め、高級ホテル、コンドミニアム、高級住宅地が建ちならぶお上品なエリアだ。私も時々、諸用で出かけるけれど、そんなところにローカル・ラジオ局があるのは知らなかった。「プリンスヴィルでもね、ちょっとプリンスヴィルらしからぬところ」とNaomiさん。プリンスヴィル・ショッピング・センターの手前をぐぐっと右折して、さらに奥に入っていくと、道は舗装されていないガタガタ道へと変わり、たしかに「プリンスヴィルらしからぬ」ところへ到着した。「ここ。」と言われて、そこで車を停める。目の前にあるのは、小屋。「この小屋?」と聞くと、「そう」とNaomiさん。たしかに、小屋からはニョキっとアンテナが延びている。う〜ん、何だかいい感じだ。椰子の木の間を通って、小屋の中に入っていく。放送開始まであともう少しだ。


壁にずらりと並ぶのはKKCRのDJたち

 「KKCR」(Kauai Community Radio)は、ロコによる、ロコのためのラジオ局といったところ。カウアイ島ではラジオで楽しめるほか、インターネットで世界各地の人がKKCRの番組を楽しめる。KKCRでは、70人以上のDJがいるが、すべてはボランティア。70を数える番組に加えて、毎日夕方にニュースが入る。その中で日本の曲を扱っているのは、NaomiさんとBillがやっている「Gift From Japan」のみ。これは月二回・日曜日の3時〜5時に放送されている。NaomiさんとBillがこの番組を受け持つようになったのは今年の7月からだというから、比較的、新しい番組であるらしい。知り合いのKKCR関係者に「日本の曲を流す番組がないから、やってみない?」と言われたのがきっかけだそうだ。


収録室。右側にあるドアのを開けると、もう屋外

 小屋の中は4部屋ほどに区切られていて、入り口を入ってすぐの部屋には番組名がシールで貼られたBOXが壁に取り付けられてあり、リスナーからの手紙やFAXなどが各DJに渡るようになっている。左手には事務所のような部屋、右手を奥に入ると収録用の部屋と、調整室のようなところがある。収録室の壁はたくさんのCDでぎっしりと埋め尽くされている。簡単な音声装置と、テーブルとイスが置かれていて、何もかもがシンプルだ。時々、収録室から屋外へと続くドアが開閉して人が出入りするのだが、その度に、外で風に吹かれている椰子の木などが見えて、そよとした風が入ってくる。小さな島のローカル・ラジオ局にふさわしすぎるその雰囲気に、自然と口元がほころんでくるのだった。

(次回へ続く)


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