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ウクレレ・デビュー (1)

ミノリ・K・エバンズ

右はフラ用に購入したものだけれど、コード進行もついていて、代表的なハワイの曲が網羅されているので、ウクレレ愛好者にもオススメ

 ウクレレを買ったのはいつのことだっただろうか。数ヶ月前になると思う。ふと「ウクレレを弾きたいぞ」と思って、同じフラのハラウ(教室)のミュージシャンであるビジョルに「ねぇ、ウクレレ教えてくれない?」と聞いてみた。「うん、いいよ」と彼がふたつ返事で快諾してくれたので、私はさっそくウクレレを買いにカパアの町にある楽器屋さんに行ってみた。素人が一人で行って探せるものではないと、ビジョルが一緒についてきてくれた。行ったのは、ハイウエイ沿いにある「Bounty Music」という楽器屋さんで、ちょうど開店何周年とかのビッグ・セールを開催中であった。

 ドアを開けて店内に入ると、正面右側にずらりとウクレレが並んでいた。待ち合わせをしていたビジョルがまだ到着していなかったので、一人でウクレレをぼや〜と眺めていると、お店のスタッフが近づいてきて丁寧に説明をしてくれた。ウクレレにはいくつかのサイズがあることや、高い音の出るもの、低い音の出るもの、形、ブランド…言われるままに、口をあんぐり開けて「はぁ、はぁ」と聞いているとビジョルが到着した。ビジョルを見ると、説明してくれていたスタッフのお兄さんは「おっ、ミュージシャンがトモダチか。彼ならよくウクレレのこと知っているから、きっといいのが見つけられるよ」と言って店の奥へと消えて行った。ビジョルが到着するまでの間に、何となく目にとまっていたウクレレがあって、私はそのウクレレを買おうとほぼ決めていた。ウクレレの音の善し悪しや、質、詳しいことは分からないけれど、色や形の見た目が気に入っていたし、値段も150ドルくらいと安く思えたからだ。


これが数ヶ月前にセールで購入したウクレレとケース

 ビジョルが口を開く前に「ビジョル、私、これ買うね」と宣言した。彼は「あ、そう」とだけ言って、レジ・カウンターの天井近くの陳列棚にずらりと並ぶウクレレの箱を次々と床に降ろし始めた。それらはこれからウクレレを始める子供たちの教材用に作られたもので、商品のパッケージもいかにも教材用といった風のもので、価格は30ドルと少し。とてもしっかり作られたオモチャと言った感じである。棚から降ろしたウクレレの箱はざっと50ケースほど。ビジョルは片っ端からそれらを開けて、チューニングをしてはポロンと弾いて、「これはOK」「これはダメ」と左右にウクレレを分けて言った。私はダメが出たウクレレを箱に戻す作業を手伝いながら、「ねえねえ、この作業、私のためにやってくれてるの?」と聞いてみた。「うん」とビジョル。じゃ、じゃあさ、私がすでに選んだあのウクレレのことは、無視ですかぁ? こんな子供用のいかにもちゃちそうなウクレレをオススメされるわけ? と聞いてみたかったのだけれど、意外と気の小さいところもある私は、弱々しく「こ、これはダメ?」と、自分の選んだウクレレを指さしてみた。「キミがそれが気に入ったのなら、それを買うといいと思うよ。でも、ウクレレを弾くのがどれくらい好きになるか、いまはわからないし、上等なのものを買うのはそれからでいいんじゃないの?」と言われた。私としては、そんなオモチャみたいなものを買うより、自分で気に入ったデザインのものを買えば、それなりに愛着も湧いて、ウクレレ弾きも日常の中に定着するというものではなかろうか、という気持ちが多少はあったのだけれど…。しかし、そう言われてみて私の頭に浮かんだのは、これまで手を出してはあっさりと興味を失っていったものたちの数々であった。そうだな〜、あれもこれもそれも続かなかったよね、と思って今回はビジョルの意見に従うことにした。


これが先生のビジョル

 「同じレベルのウクレレでも微妙に音が違うんだよ」と言って、OKが出たウクレレの音をひとつひとつ私に聞かせてくれ、細かなキズなどをチェックしてくれた。20-30ドルのウクレレを買うのに、しかも赤の他人の私のウクレレを買うのに、1時間以上もかけて真剣にウクレレ選びにつきあってくれるビジョルに、「いい人だな〜」と私は感激したものである。けっきょく、その50本にもおよぶ中から、気に入ったひとつを選び購入した。ケースも買った。セール中ということもあって、合計で30ドルくらいだっただろうか。家に帰る車中、後部座席にウクレレが乗っているのがミラー越しに見えて、私はウキウキしながらハンドルを握っていたのである。

続く


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