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5度目の独立記念日

ミノリ・K・エバンズ
木陰のピクニックテーブルで楽しくランチ

 7月4日は、アメリカがヨーロッパ諸国からの独立を宣言した「独立記念日」。私にとっては、ハワイに移住してから5度目の「独立記念日」となる。日本で生まれ育った私には、この祝日に特別な思い入れはない。そしてそれは、もしかしたらハワイで生まれ育った人にとってもそうなのかもしれないけれど、何はともあれ、パーティ好きなカウアイ島の住民たち。仕事も休みになるこの祝日は、とうぜんのように、たくさんの人がビーチに繰り出して、パーティとなる。オアフ島などでは、大がかり(といっても、日本の花火大会とまではいかないのかもしれませんが)な花火が打ち上がったりする。私とウォーレン(だんなさんです)も一度、たまたま日程が重なって、オアフ島のカイルアビーチで「独立記念日」の打ち上げ花火を見たことがあった。ビーチで風に吹かれながら、持参したタイフードを頬張りながら見た花火が心地よかったことを憶えている。そして、カウアイでも一度、友人宅で花火を見た。その様子はずっと以前にこの「カウアイ日記」でもお伝えしたように思う。私たち夫婦が「独立記念日」の花火を楽しんだのはこの2回だけ。それで私たちには十分。加えて、花火や爆竹があちらこちらで鳴り響くこの日は、我が家の愛犬パコにとっては「試練の日」。いやいや、パコだけではなくて、多くの動物にとって「試練の日」となるようで、車の下などに身をひそめている犬や猫の姿をたくさん見る。パコもぷるぷると震えながら、ジっとソファの下に身をひそめて、「独立記念日」の終わりをただひたすら耐えて待っている。

あちらもこちらも、楽しい笑い声でいっぱい

 そういうわけもあって、今年も我が家にとってはただ「仕事が休みの日」になる予定だったのだけれど、フラシスターから声がかかって、「何かしよう」ということになった。「じゃぁ、お昼の一時にポトラック(みんなで料理を持ち寄るスタイル)で、アナホラビーチに集まりましょう」と、クム・フラのプナ。「はぁ〜い」と私たち。「で、何をするんですか?」と聞くと、「フラ」とプナ。そ、それではいつもの日曜日のレッスンと変わらないのでは...と思ったものの、ポトラック用の材料を買って、家路に向かった。ちなみにカウアイでは、祝日や週末、ともかく休みの日にはビーチに繰り出して、BBQをして、泳いで、家族で時間を過ごす風景が当たり前のように見られる。一応、私たちもこの日は「独立記念日」ということで、祝日らしくBBQを(家で)して持参することにした。BBQと言えば、ウォーレンくんの担当である。前夜に、コーリアン系のタレにたっぷりのショウガとガーリックをすり卸して混ぜ、そのソースにチキンを一晩漬け込む。当日、家を発つ前にBBQしたチキンを持ってビーチに向かった。「今日はきっと、花火や爆竹だらけで、パコをビーチに連れていくのは可哀想」というウォーレンの意見で、パコを家に置いて出た。

 アナホラビーチに到着してみると、意外に人が少ない。「なんか、普通の日曜日みたいだねぇ」と言いつつ、ハラウ(フラの教室、仲間)のメンバーが集まっているところへ向かう。例のごとくハワイアン・タイムで到着した私と、不本意ながら“私のおかげで”ハワイアン・タイム(彼は時間をきっちりと守るタイプです)で到着したウォーレン。行ってみると、驚くことに、プナがすでにフラ・レッスンを始めている様子である。まるで、レッスンに遅刻して到着した形になってしまった私...というか、遅刻したのだけれど、でも、でも、でも、今日は「独立記念日」の集まりではぁぁぁと心の中で自己弁護しながら、急いでパウスカート(練習用のフラスカート)を身につける。そして、列に入って練習に加わる。「ぼく、一日中フラを見てるのなんかイヤだからね」と言いつつ家をあとにしたウォーレンは、早くも諦めモードに入って(うちのダンナさんは状況にとても柔軟です。というか、諦めがいい)、木陰に行って本を読み始めている。すっかりゴハンを食べるモードに入って到着した私のお腹は、かたすかしをくって、フラを踊りつつも「クゥクゥ」と鳴っていたのである。

すぐそばでアナホラの海がキラキラ光ってとてもきれい

 ようやく、新しい曲の「一番」を憶えて、「じゃぁ、食べましょう」ということになった。みんなで手をつなぎ、輪を作り、唄をうたう。これが食べる前のお決まり。テーブルにはたくさんの料理が並んで、心なしか、いつもよりも若干豪勢な感じである。その辺りにポツリポツリと置かれた木製のピクニックテーブルに、てきとうに散らばって料理を食べる。「うわ、これ美味しい。誰が作ったの?」「あ、それ私」とか、そんなことを言い合いながら...。暑すぎず、寒くもなく、木陰が十分にあって、ビーチの風に吹かれながら、フラファミリーたちとゴハンを食べる。すぐそばでは、凪いだ海が陽光に反射してキラキラと光っている、その後方ではアナホラの山並みが緑色のヴェールを湾の向こうに作っている。ふと周りを見渡すと、フラファミリーのみんなも、他にビーチに来ている家族も、みんなたっくさん笑って、おしゃべりして、ほんとうに楽しそう。私はこういう何気ない、でもとてもシアワセな時間に身を置くのが大好きだ。理由なんかはない。ただただ、気持ちがいい。

 いつもより随分ゆっくりめのお昼をとって、その後はまたフラ・レッスン。けっきょく、花火も爆竹もほとんど鳴らず、3匹ほどの子犬が戯れているのを見て、「パコも連れてきてあげればよかったね」とウォーレンと私。それが唯一悔やまれたものの、いつものように、穏やかで気持ちの良い休日が過ごせて満足だった。夕方、家に戻ってみると、近所で花火やら爆竹が鳴り始めて、どうやらメイン・タイムの始まりのようである。みんなが賑やかにしている中で、「独立記念日」のお祭り騒ぎの日に、普通の日曜日みたいな、何気ない、穏やかな時間が過ごせたことがなんだかとてもシアワセだったのである。来年の「独立記念日」は、どんな風に過ごすのかな。


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