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ミノリのカウアイ日記

ホームステイBOY レンくんの奮闘記

ミノリ・K・エバンス
ウォーレンに日本語を教えるレン

 寒い寒いヨーロッパから、カウアイの我が家へ帰ってきたばかりの私。フラの旅で訪れたヨーロッパは、100年ぶりの記録更新だとか何とかで、異常なる寒さだった。昨年も同じ5月に訪れていたものの、ポカポカ暖かい気候、緑と春の花咲き乱れる前回とは打って変わって、今年は初夏を感じることもなく、ひたすら寒さとの戦い...という日々であった。それもあってか、向こうでの時間を楽しみつつも、同時にひどいホームシックにもかかっていたカウアイ・チーム。帰りの飛行機の中、眼下にオアフ島が見えてきた時には、「やった〜! 戻って来たよ〜〜ん」と手を叩き合って喜んだものである。我が家に帰るのがこんなに「ホッ」とするなんて、どんどんカウアイが自分の住んでいる土地になっていくなぁ、なんてことを思ってみる。異国で暮らす日本人の中にもいろいろなタイプの人が多いけれど、日本がイヤで外国暮らしをしたかったという人、日本の暮らしには馴染めなかったという人に会う機会も多い。だけれど、私は日本のことが大好きな日本人である。たまたま、「ここに住みたい!」という場所がハワイであっただけ。そんな私も、カウアイでの暮らしが10年を迎えようというここに来て「やっぱ家が一番だね!」と心から思えるくらいに、この土地に馴染んで来ているようである。

 さてさて、すでに遡ること数ヶ月前のことになるが、我が家にはホームステイ 滞在をしに日本から来ている、大学生がいた。名前はレン。時々、日本からのホームステイを受け入れている我が家だけれど、このレンは中でも常連組である。 レンいわく、彼と私たちの出会いは5年前に遡るらしい。彼が当時通っていた私立高校のアメリカンフットボール部がカウアイにどどっと来島したことがあった 。その時に我が家もホストファミリーになっていたのだけれど、その引き合わせのパーティで私を見かけたのが最初だとか。なんて上品できれいな人なんだろう と思ったのが彼の私に対する第一印象らしい。...というのは真っ赤なウソだけれど(これを読むことがあったら、彼は顔を真っ赤にして怒ることだろう)、ともかく私をそこで見かけたことを憶えているらしい。その時に預かったのはレンとは違う男子学生2人で、私自身はレンのことはまったく憶えていない。その後、レンはお兄ちゃんのケンと2人で、私のクム・フラ(フラの先生)の家にしばらくホームステイをしていたことがあり、その機会に話をするようになった。アメフト部が来た翌年だったろうか、ある日、クム・フラから、「ケンとレンがまたホームステイをしにカウアイに来るんだけれど、空港までピックアップに行ってやってくれない? それでホームステイ先のアンクル・ネイサンのところに落としてやってくれない?」と電話があった。「あ、いいですよ〜」と気軽に返事をしたのだけれど、その時、その日から、この2人と2ヶ月の日々を共にするとは、夢にも思わなかった私である。

 空港で2人をピックアップして、指定のホームステイ先に連れて行ったところ 、「ん? そんな話は聞いてないよ」と意外な展開が待っていた。しかも、彼らの両親がホームステイに後日やってくるので、残念ながら泊めてあげられるスペースがないというのだ。そんなことをただの運転手役の私に言われても困るんだけれどなぁと思いつつも、状況的には我が家で引き取るしかなさそうだなぁと瞬時に腹をくくった次第。当時、我が家はお引っ越しの最中で、現在住んでいる家に入居したばかり。家具もろくに揃わず、おまけにゲストルームには日本からの間借り人の女の子がいた。とりあえず、リビングルームにマットを敷いて寝ればいいねと始まったのが、レンが我が家に来た最初のホームステイである。これを機に数ヶ月前のホームステイがレンの4回目(?)の我が家での滞在であった。はじめてのホームステイの時、急遽、我が家に泊まることになった2人は「なんでもやります!」と私に言ったものだ。じゃぁ、なんでもやってもらおうと、電気機器に強い2人に新居のテレビやらオーディオやらの接続、家具の運び入れなどなど、多くの力仕事、電気仕事をこなしてもらった。手入れが入ってなかった庭もきれいに整備してもらった。急な展開ではあったものの、結果的には良い時にいい人材を拾ったものだなぁと思ったものである。

 あれは、レンの2回目の我が家滞在の時だっただろうか。彼が来る予定の前日 に電話が入った。「あのぉ、いつ、迎えに来てくれるんですか?」と。「え、どこに?」と私。「い、い、いや、空港に。ずっと待っているんですけれど」とレン。「え? どうして空港にいるの? どこの空港?」と私。マジですか〜と言ったあとで、「カウアイのリフエ空港です」とレン。どうやら、レンの来る日を一日間違えてカレンダーに書き込んでいたらしい。聞けば、もうすでに数時間、空港で待っているという。「あ、そう。じゃぁ、いまから行くよ」と言うと、「あ、そう。じゃないですよ。もう、しっかりしてください。お願いしますよ」と、電話が切れたというようなこともあった。以来、我が家に来る時には、何度も何度も到着日と到着時間を確認されるという面倒くさい事態を引き起こしてしまったのである。まぁ、私が悪いのですが。

お好み焼きに挑戦

 さて、回数を増すごとに、ホームステイをする人としてアップグレードしていったレン。まったく料理など出来なかった彼が、数ヶ月前のホームステイ時には何度も美味しいごはんを作ってくれた。掃除も手伝ってくれたし、これはいつものことだけれど、パコ(我が家の犬です)の面倒もしっかりと見てくれた。そして今回が、彼いわく「最後の長期ホームステイ」らしい。最初に来た時は高校生だった彼も、大学生活を終え、このたび就職が決まったらしい。なので数ヶ月単位でカウアイに来ることは当分できなくなった。そう言われてみれば、最初に出会った頃よりも随分と大人になったなぁと思う。いまでも落ち着きのない彼ではあるが(失礼)、最初に来た時は、「騒音を出さない時はないのか?」と言うくらいに賑やかで落ち着きがなかった。もともと、じっとしているということができないタチの彼。パコの世話をするにしても、世話をしているんだか、イタズラをしているのだか分からない状態で、パコはひたすら彼から逃げまわっていたものである。その落ち着きのなさが、いつの間にか、良い意味でマメに行動する、我が家の心強いサポーターになっていた。そうそう、彼女と一緒に泊まりに来たこともあった。高校生から大学生、そして社会人。もしかしたら、人が一番ぐぐんっと変化する人生のタイミングに、私たちもその一部分として関わらせてもらったのかもしれない。

「美味しい!」お好み焼きの出来上がり
 学生生活最後のカウアイ滞在を終えた彼から、後日、Eメールが届いた。そこにはいつもの彼らしからぬ、5年間の思い出やら、お礼やらが述べられていた。そ して学生時代の最大の思い出はカウアイの日々だとも書かれていた。レン流のおべっかも入っているのは充分に心得た上で、その一文を読んだ。こちらも電気機器のこと、コンピュータのことなどは「レンが来た時に聞こう」と、いつの間にかどこかで彼をアテにするようにもなっていた。これからはそれもできなくなる。カウアイだけではなくて、定期的にフラで日本へ出かける際に、関西の空港に迎えに来てくれるのも、いつの間にか彼の役目になっていた。何か必要なものがあれば、買いそろえておいてもくれる。東京に就職が決まったので、今後はそれもない。いま、レンは社会人として歩き出して、はじめての一人暮らしを始めたばかりである。彼はこの5年間で、カウアイにたくさんの友達、そして家族を作った。頼もしいことである。ずんずんと音を立てるように成長、変化していく年頃の人と接していると(なんて書くと、おばあちゃんみたいですが)、時間というのは確実に流れているんだなぁということを身を持って実感する。そして、状況とか、いまの自分の暮らしにあるものや手の中にあるものは、つねに変化しつづけるのだなぁとも思う。レンを始め、たくさんの人がこれまで我が家にホームステイに来てくれた。そして、それぞれのみんなといまも私とウォーレンはつながっている。いろんなところにたくさんの家族がいて、ほんとうに嬉しい。そして、ホームステイの人との時間を通して思うのは、目の前にいる人との時間を大事に、目一杯楽しんでいきたいなということ。さて、社会人になったレンくんはこれからたくさんの「自分の思い通りにならないこともある」ことをお勉強しちゃったりしていくんだろうか。根がポジティブで陽気な彼のこと、きっとどんな仕事も前向きに楽しんで行くんだろうなぁ。

 

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