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ミノリのカウアイ日記

航海カヌーの上で

ミノリ・K・エバンス
建造中のカヌーへは急角度なラダーで上がる

 先日、またまた高砂淳二さんがカウアイにやって来た。以前にも書いたことがあるけれど、高砂さんはハワイ好きなみなさんはご存知のとおり、「Night Rainbow 祝福の虹」などをはじめ、ハワイの写真を多く手がけて大活躍中のフォトグラファー。前回、カウアイに取材で来た時には、私のクム(フラの先生)の案内で、タロ芋畑へ一緒に行って来た。その時に高砂さんが撮ったカウアイは、「色で旅するハワイ」(文藝春秋)という名前で出版されている。本が発行されてから我が家に届けられたその写真集には、いろんなハワイの色が溢れていた。鮮やかな色に囲まれた暮らしであることは、カウアイでの日々の中で常々思っていることではあるけれど、その写真集には、またぜんぜん別の視点から撮られた色が満載されていて、新鮮でとてもオモシロい一冊であった。

カヌーとフラで使う筋肉を感じてみてと、腹筋体勢を取らされる高砂さん

 さてさて、今回もいつものように「あ〜、カウアイに来ました〜」という電話が高砂さんから入った。スケジュールによっては、カウアイに撮影に来られても会えないということもあるものの、いつもこうして電話を入れてくださる。高砂さんはその人柄の通り、大らかでギラギラしたところのない、ハワイのゆる〜い風のような話し方をする。なので、いつも通りの声を聞くと、ホッとこちらの気持ちも緩む(と言っても、普段から緩みがちではありますが)。今回は、伝統カヌーの漕ぎ手や、カヌービルダー、ホクレアの乗り手と言った人々を各島を訪ねて廻るということで、誰を取材するかという下調べの段階から、電話で相談を受けていた。カヌーや伝統文化の受け継ぎ手となると、その分野にはめっぽう強くて、たくさんの人を知っているのが私のクム・フラである。ということで、彼女のサポートも入って、取材する人たちが決まったところで、あとは現地コーディネーターさんの手へと渡された。そして取材前日にクム・フラから電話があるまで、その話は記憶の彼方へと小旅行中であった。近々、高砂さんがやって来るということだけをおぼえていた。そして撮影と取材の前日にクム・フラからの電話。「明日の朝、我が家で集合ね〜」と。具体的に何があるとも、何をやるとも指示はない。あ、カヒコ(伝統フラ)の衣装と、これとこれを持ってきてね、とだけつけ加えられる。衣装を持って集合ということはフラでも踊るのかな、というくらいの想像がつく程度である。そして驚くなかれ、こういうことは超日常的な出来事でもある。冒頭でも書いた通り、前日に高砂さんからも電話をもらっていたのだけれど、就寝が早い我が家ではすっかり寝てしまっていて、その電話も翌日になって気づいた始末である。聞けば、クム・フラも取材を受けるとのこと。「何を話すんですか?」と聞くと、伝統カヌーとフラ・カヒコの関係について、とのことだった。

航海カヌーの上でのプナ(クム・フラ)と高砂さん

 ナウィリウィリ湾に集合して、まず写真撮影。それから車で数分のところに移動すると、伝統航海カヌーの建造現場があるのだけれど、建造中のその上での取材となった。現場には、ホクレアなどの乗り組み員として、またハワイ文化の継承者としても幅広く活動をしているアンクル・デニス(・チャン)もいて、同時取材という形になった。カヌーに上がるには、数カ所にかけられたラダー(ハシゴ)を上るのだけれど、これがまた急角度で立てかけられていて、どこにもロープなどで固定されていないという大らかさ(!)。こういう場合、慎重に上る人もいるだろうけれど、私の場合は危なさそうなことはさっさと過ぎてほしいという気持ちが勝つのか、ささっと駆け上がってしまうタチである。そしてささっと駆け上がった先は、普通の家で言うと2階のラナイ(ベランダ)に立つ感覚であろうか、意外と高い。もちろん囲いも何もなくて、さらに高く感じてしまった。私はそこではとくに何もすることもなく、必要な時は通訳のお手伝いをしつつ、みんなの話に耳を傾けつつ、基本的には海から吹く風に吹かれてぼ〜っと過ごしていた。建造中とはいえ、ほとんど出来上がっているカヌーの上である。この大きなカヌーをどうやって海まで持っていくんだろう...なんてことを考えながら、風に吹かれていた。目の前にはナウィリウィリの湾。耳に入ってくるのは伝統カヌーと伝統フラの話。そして座り込んでいるのは未完成ながら、本物の航海用カヌー。ちょっとした異次元空間に身を置いたようなひと時であった。日常のすぐ近くにある、私にとっては非日常的な空間。カウアイの暮らしの中では、そういう時間に身を置く機会がとても多いように思う。’伝統文化’を引き継ごうとしている人たちとの時間、という風に置き換えてもいいのかもしれないけれど。そしてそれは私がとても興味を持っていることのひとつでもあるから、そういう機会が次々とやって来てくれるのであろう。日常の時間の中をぶぶんと車を運転した先、そこにかかっていたラダーの上には別世界があったという感じであった。

カヌーの上から見えるナウィリウィリ湾

 こうやって取材の現場に立ち会うという機会が時々ある。日本ではそういうことを仕事にしていたこともあって、懐かしい時間が蘇ってくるようでもある。そして、書く作業も、写真を撮ることも、「表現をする」という行為にとても興味のある私は、この時間がどんな風に誌面に仕上がるのかを考えるとワクワクする。仕上がった誌面や本を手にしての感想はさまざまである。その中にあって、高砂作品はいつでも予想を超えた角度から、するすると気持ちの中にハワイの風を運んで来てくれる。今回もどんな誌面が展開されるのか、とても楽しみである。

 

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