ハワイの自然、文化、歴史がテーマのアロハWEBカワラ版
目次
【バックナンバー】
特集:知る・歩く・感じる
キルト・パラダイス
ハワイ日和
ミノリのカウアイ日記
アロハ・ブックシェルフ
ハワイ・ネットワーク
新定番!ハワイのおみやげ
スタッフルーム
アロハ・ピープル
フラ・ミュージアム通信
【ホクレア号】
ホクレア号横浜到着
ホクレア号での航海生活
ハワイの食卓
スタッフのいちおしハワイ
ハレピカケ倶楽部
アロハ・コラム
パワー・オブ・ハワイ
私のフラ体験
ハワイ日系移民の歴史
アストン・ストーリー
>アイランド・クローズアップ
ハワイ島編
マウイ島編
ホロホロ.ハワイ
カワラ版 トップページ
バックナンバー
クリック!
 
RSS1.0
第112回「ビショップ博物館ケネス・パイク・エモリー人類学名誉研究員、篠遠喜彦先生」
アン
篠遠先生と記念写真
皆様アローハ!

先日、 ポリネシア文化と考古学の第一人者、篠遠喜彦先生の貴重な講演会に参加させていただくことができました。その様子をご紹介しましょう。

 私たちハワイ在住の仲間で、数ヶ月に一度集まり、ハワイの勉強をしている「ʻAha Hoʻopono」という会に篠遠先生をお招き講演会をしていただきました。 篠遠先生はポリネシア研究歴55年の大家ですが、実はハワイでのポリネシア文化の研究の為に日本を出発されていたわけではないというお話から始まりました。 先生は旧石器文化に興味をお持ちだったので、 アメリカ本土のインディアン旧石器文化を研究するために、サンフランシスコへ行く旅の途中、ハワイで下船したのが、運命を変えてしまうことになるとは! とおっしゃっていました。当時ハワイでは発掘のお手伝いのつもりだったのが、ケネス・パイク・エモリー博士に拉致されたとさえもおっしゃっていました。すぐにハワイ島のサウス・ポイントに出向き、遺跡の発掘のお手伝いをされたそうです。ですが、先生の興味のあった土器は全然見つからず、代わりにいろいろな形の釣り針が見つかったそうです。ここから出土した釣り針は3500本に及んだとおっしゃっていました。

篠遠先生の講義の様子 先生のお話はとても興味深いです ハワイ島のサウス・ポイントでの遺跡発掘チーム
篠遠先生の講義の様子 先生のお話はとても興味深いです ハワイ島のサウス・ポイントでの遺跡発掘チーム

 通常、文字が存在する文化では文字、または土器から歴史を探るそうですが、ポリネシアは文字も土器もない文化で、ハワイアンの起源と、ポリネシアの民族移動のルーツを、釣り針から研究され学説を唱えられたのが、篠遠先生だということになります。釣り針の形から時代の前後を見極めたり、古代ポリネシア人の航海の経路を知る事ができたりと発見が大きいということもわかったそうです。ハワイ諸島の祖先はマルケサスから移動したというのも、篠遠先生の学説です。ただ、先生のお話の中で素晴らしいと思った事は、発掘調査をする場合、そのあたり一帯すべての発掘をするのではなく、ある程度まで発掘したら、残りは後世の人たちの為に掘り起こさないで、そのままにして置く事が大切だということでした。後世の方の研究や、進んだテクノロジーでまた別の何かが発見される可能性があるかもしれないということだそうです。考古学の奥の深さに脱帽しました。

ハワイで出土した釣り針 色々な釣り針の種類 篠遠先生のポリネシア人の移住経路の学説の図
ハワイで出土した釣り針 色々な釣り針の種類 篠遠先生のポリネシア人の移住経路の学説の図

 先生は釣り針の他に、タヒチにてカヌーの一部とされるとても重要な発掘をされました。タヒチ本島を含むソシエテ諸島の中心に位置するフアヒネ島の水没遺跡調査で、古代木製のカヌーのある部分を見つけられました。発掘された部品から想像すると帆柱は20m、それに厚い側板、舵取り用のカイが見つかったので、航海用のカヌーだとわかったそうです。これにより古代ポリネシア人が太平洋を行き来し、航海していたという推論を裏付ける重要な出土品になりました。ただ、発掘した後の保存状態が悪く、今では現存しいないということです。先生の発掘調査はポリネシアにおける、ハワイアンのルーツを証明する貴重なものとなっているわけですね。
フアヒネ島を空から見た映像 発掘調査でマスト(帆柱)を発見 船の側版も発見
フアヒネ島を空から見た映像 発掘調査でマスト(帆柱)を発見 船の側版も発見

「タオテ・シノトウ」を歌ったボビー・ホルコムさん
「タオテ・シノトウ」を歌ったボビー・ホルコムさん
 タヒチからハワイ諸島に移住した人たちが多かったことも、研究結果でわかったようです。タヒチなどでは特に、考古学をやっているのは、外国人だけだったそうで、先生はタヒチの人たちに文化の大切さや保存の仕方などを細かく説明され、指導されたそうです。現在、タヒチの歴史が明らかになっているのは、篠遠先生のおかげだということで、2000年には、フランス領ポリネシア政府からナイト(騎士)の称号を授与されました。本当は篠遠先生とお呼びするよりも「サー・シノトウ」とお呼びしないといけないようです。そして「タオテ・シノトウ」という曲もあり、1987年にボビー・ホルコム(Bobby Holcomb) さんによるCDも発売されています。先生が行かれたらラジオでよく流れているということです。篠遠先生は神様の存在なのですね。また、ハワイでは「サー・ヨシヒコ・シノトウ」という名前の付いた、新種の紫のハイビスカスがあります。ポリネシア、ハワイ文化において、篠遠先生の存在は不可欠です。

 篠遠先生の講義は2時間ほど続きましたので、ここにはごく一部しかご紹介できませんでしたが、本当に興味深いものでした。ポリネシア考古学の権威の方が、素人の私たちに、詳しく楽しくお話をして下さる事に感謝です。先生とはある仕事がきっかけでお近づきになったのですが、それから十数年、変わりなくお元気で貴重なお話をしていただいています。 本当は10年ほど前に先生に誘っていただいた、クルーズ船での講義に行けば良かったとちょっと後悔しています(先生は日本のクルーズ船で、タヒチ辺りではポリネシアのお話をされていました)。この講義を機に、今度は先生の裏話などをたくさん聞かせていただければと思っています。お話の途中、お茶目な一面もたくさん見せていただきました。皆さんもこのような機会があれば、是非先生の講義に参加して見て下さいね!

By アン

先生の共著「楽園考古学」「秘境マルケサス諸島」どちらも平凡社より出版。


 


【イーブック・ジャパンよりアンさんの電子書籍、好評発売中!】

キルト・ストーリー藤原小百合アン「キルト・ストーリー」(アロハ検定協会)
全32ページ 180円

フラ、レイと並び、ハワイの文化を象徴するハワイアンキルト。その誕生から今日に至る歴史を通じ、キルトに込められたさまざまなメッセージを教えてくれる。実践編では、ハワイアンキルトの約束事や用語、道具などの解説をはじめ、作品制作にあたって注意すべきことなどを、写真を用いながらわかりやすく解説する。また、ハワイ各島を代表する植物と色をテーマにした作品紹介などもある。巻末にはキルト教室とアンティ(先生)の、ハワイ文化における関わりについてページを割いている。

イーブック・ジャパンはこちらから
http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/27275.html


個人情報保護の方針 クッキーの利用について
Copyright (C) 2002-2003 PACIFIC RESORTS.INC., All rights reserved.