皆様アローハ！
ハワイに来られた方なら、一度はイオラニパレスに行かれたことがあるのではないでしょうか？ アメリカ国内で、ハワイ州は唯一王朝が存在していた州となっています。アメリカでは、ハワイ以外の州では宮殿が存在しないので、イオラニパレスはとても貴重です。今日はイオラニパレスの中にあるキルトについてご紹介しましょう。
カメハメハ大王がハワイの島々を統一した最初の王様ということはご存知でしょうか。カメハメハ5世までは、後継者を選び王様が決定していたのですが、そのあとのルナリオ王、そしてカラカウア王は選挙により王様となりました。イオラニパレスはカラカウア王により、1882年に建てられました。前進は木製の今のパレスの1/3の大きさの平屋建てでしたが、シロアリにより建物の状態が酷いことから、カラカウア王の命令で、現在のパレスが建設されました。カラカウア王はアメリカ合衆国や外国を訪問したハワイ初の王となり、非常に好奇心が強かったため、旅の途中で、先進のテクノロジーなどの情報を収集し、イオラニパレスは当時、電話や電灯、水洗トイレなどを導入されたモダンな建物でした。1883年にはカラカウア王とそのお妃カピオラニ女王の戴冠式があり、カラカウア王朝の栄華を極めました。 その後旅の途中のサンフランシスコで病死されたので、後継者であった妹のリリウォカラニ女王が誕生しました。
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| カラカウア王死後、王位を継承したリリウォカラニ女王 |
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イオラニパレスの二階にはカラカウア王の寝室とカピオラニ女王の寝室が別々にあります。カラカウア王の寝室のベッドには、1886年、王の50歳の誕生日のプレゼントとして贈られたハワイアンキルトの複製品が展示されています。こちらのキルトにはハワイ王朝の紋章とモットーである「Ua Mau ke Ea o ka ʻĀina i ka Pono」(大地の生命は正義によって永続される)がキルトされています。紋章は二人の守衛がいて、一人は槍、一人はカヒリを持っています 。中心部分には王冠、ハワイの旗の一部（8島の白、紺、赤の8本線）とプウロウロウ（タブースティック）、そしてハワイオリジナルの国旗から槍のイメージを描いています。この紋章はハワイ王朝時代のものであり、共和制に変わった時には紋章も微妙に変化しています。
王のオリジナルのハワイアンキルトはとても状態が悪く、倉庫に保存してありますが、生地がぼろぼろになっており展示するのは難しいとの事で 、この複製品がマスターキルターのマーゴ・モーガンさんとアシスタントにより製造され、2009年に展示が開始されました。モーガンさんは、オリジナルのデザインを詳細にトレースし、オリジナルと全く同じキルトを完成させました。完成後、パレスの学芸員などが見比べ、ステッチの大きさやキルティングの幅などをじっくりと比較し、オリジナルと違っている場所を見つけると、やり直しを依頼し、オリジナルと全く同じに完成させたということです。このキルトはカラカウア王の50歳のお誕生日のプレゼントを並べた、王座の間の写真の背後に映っています。
| カラカウア王のベッドにかかっているハワイアンキルト |
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イオラニパレス二階のカピオラニ女王の寝室は、王座の間での舞踏会や公式行事の前などに、準備するお部屋として使われたそうです。実際には王も女王もパレスの近くにあった公邸で生活をされていたと言われています。カピオラニ女王のベッドには、中国製のキルトが掛けられています。女王のモットーである「Kulia ika nu’u」（最善を尽くす）が描かれています。こちらのオリジナル・ベッドキルトはサテン生地が使用され、色の状態、刺繍の状態、キルトの状態も奇麗なまま保存されています。
カラカウア王朝はカラカウア王の死後、リリウォカラニ女王が王位後継者となりハワイで初の女王が誕生しました。しかしその2年後にはアメリカ合衆国により、ハワイの情勢は変化し、女王は退位させられ、王政は事実上崩壊しました。その2年後の1895年の1月には、リリウォカラニ女王は、王政支持派のクーデターの張本人の疑いで、氾濫の首謀者の容疑をかけられ逮捕されてしまいました。事実は女王ではなく、支持派のクーデターでしたが、血を流す戦いを避けたかった女王は、素直に逮捕されたと言われています。そしてそのままかつては栄華を極めた、そして共和制社会の政府が置かれたイオラニパレスの2階に幽閉されてしまうことになりました。裁判の結果、女王は反乱に加担した罪で、当時の5,000ドルの罰金と、5年間の重労働の判決を受け、イオラニパレス内に幽閉されることになりました。約8ヶ月弱の幽閉生活の中で、今でも幽閉の間に飾られている「クィーンズ・キルト」を作り始めました。
このキルトはクレイジー・キルトと呼ばれる、当時ヴィクトリア朝時代に流行した手法で作られています。言葉通り、クレイジーに色々な生地を繋ぎ合わせ、思い思いの刺繍で装飾するキルトです。材料としては、当時の女王の舞踏会用の衣装の一部、帽子に使われたリボンなどが使われています。また中央部分のブロックには女王の生まれた年月日、女王に就任した年月日、そしてこのキルトを始めた年月日などがきちんと刺繍されています。この中心ブロックの赤シルクの生地は、生地の媒染剤が原因で、生地がはげた状態になっていますが、専門家の修復により、これ以上色落ちなどがないように大切に保存されています。
ハワイはその後アメリカ合衆国の準州となり、正式に1959年に50州目の州となりました。それまで、イオラニパレスはハワイの政治の州議会でしたので、栄華を極めた時にあった家具や調度品などはオークションにより、売られてしまったり、壁や天井などは塗り替えられたりしていました。1969年に今の州議会が建てられる前年に、修復作業に入りました。そしてアメリカ本土や海外から、もともとイオラニパレスで使われていた調度品をオークションで購入したり、寄付してもらったり少しづつ収集しました。昔の写真を便りに、学芸員や研究員などのプロに復旧作業を手伝ってもらい、ついに1978年に修復工事も終わり、ハワイ州の歴史博物館として一般公開が始まりました。今でも調度品などは集め続けられ、2013年は大広間などのカーペット、2階の王、女王の寝室のカーテンなどの複製品が取り付けられています。昔の姿に戻すように今でも修復作業は続いています。
イオラニパレスや王政の歴史を少しでも知っていただくと、訪問する楽しみも新たになります。皆さんも一度行かれたからと言わず、ハワイに行く時には是非お立ち寄り下さい。
By アン
Iolani Palace
364 South King St.,
Honolulu HI
予約番号：808-522-0832（ガイドツアーは要予約）
日本語ガイドツアー：月曜から土曜の午前11時半から45分間。
料金：大人一人$21.75、子供（5〜11歳、4歳以下は入場できません）$6.00
セルフ・オーディオツアー(日本語あり)：火曜、水曜、木曜 午前10時半〜午後4時の間。
金曜、土曜は午後12時〜午後4時までの間。
料金：大人一人$14.75、 子供（5〜11歳、4歳以下は入場できません）$6.00
参考文献：
"The Rise and Fall of the Hawaiian Kingdom" by Richard A. Wisniewski, Pacific Basin Enterprises
"The Hawaiian Monarchy" by Allan Seiden, Mutual Publishing |
