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第128回「ハワイ島のアナランチ(牧場)」
アン
アナ・ランチの入り口
アナランチの入り口
 皆様アローハ!

 ハワイ島にはたくさんの牧場があるのをご存知でしょうか?

 ハワイの牧場の歴史はカメハメハ1世の頃に遡ります。ハワイ島の牧場の中で、女性が経営をしていたアナランチを今日はご紹介しましょう。

 ハワイ諸島にはポリネシアから持ち込まれた動物が数種類いましたが、まだ牛や馬がいない時代でした。キャプテンクック一行がハワイに上陸したのが、1778年です。その時に同乗していたジョージ・バンクーバーはその後、数度に渡り、ハワイにやって来て、カメハメハ1世などと時間を過ごしたと言います。その間、数頭のヤギやカモなども持ち込みました。1794年にはハワイ島で5頭の雌牛と1頭の雄牛をカメハメハ1世に献上しました。


アナランチのオーナーだったアナの肖像画

アナランチのオーナーだったアナの肖像画

 ハワイ島のノースコハラのあたりより、ワイメアは涼しく、降雨量もあり、草原もあるということで、カメハメハ1世にワイメアにその献上した牛を持ち込むように頼みました。そして地元のハワイアンには王のタブー=王による法律を作り、その牛を勝手に殺して食べたりしないように定めました。30年後にはその牛が増え、 ワイメアの谷やマウナケアの裾野などに野生化しました。

 そして1803年には馬がハワイに持ち込まれ、1830年頃にはハワイでも乗馬ができるようになりました。カメハメハ3世はメキシコからいわゆるカウボーイを連れて来て、ハワイの人々に乗馬を教え、カウボーイにし、野生の牛をコントロールしたと言われています。ハワイではカウボーイの事をパニオロと言いますが、これもスペイン語が語源と言われています。

 その後1847年にパーカー牧場が作られ、アメリカでも最大級の大きさで歴史のある牧場となりました。

 アナランチの歴史は19世紀の始めに英国人の男性がハワイアンの女性と結婚した頃から始まります。1858年に現在のアナランチはアナの曾祖父母が土地を買ったことより始まりました。アナは1900年にヒロで生まれ、アナランチで育ちました。小さい時からカウボーイと呼ばれたいと思っていたくらい、乗馬が日常でした。14歳の時に乗馬している写真が今でも残っています。アナは「牧場のファーストレディー」と言われていました。アナはカウガール、ジョッキー、パウライダー、肉屋、コミュニュティリーダー、牧場主という肩書きを持っています。

アナが横乗りで乗馬をしている珍しい写真です
アナが横乗りで乗馬をしている珍しい写真です
 アナの写真はパウライダーというハワイの特殊な乗馬の姿です。乗馬ですが、どちらかと言うとショーの要素が多くあります。パウ(Pa'u)はスカートですが、スカートとして作られたものではなく、1枚のサロンをパンツ状態に結んでスカートパンツを作り馬にまたがり乗るというのがパウライダーです。歴史を遡ると、王族の女性達がこのパウを着て乗馬をすることから始められたと言います。この伝統を広めるために、アナはパウスカートのはき方や乗馬の仕方などをパレードなどで披露したり、デモンストレーションをする事をしたそうです。写真は珍しく横座りでパウライドをしている様子です。アナは1995年に95歳で亡くなりましたが、85歳くらいまでは乗馬をしていたという、一生乗馬を楽しみ、伝統を守って行きました。

 アナの両親が続けて亡くなった後は、父親の兄弟も牧場経営に行き詰まり、経営が破綻する手前でした。アナは牛の解体をする従業員も雇えないくらいなり、すべて牧場経営を一人でやっていたりしていましたが、1943年にライマン・ペリーフィスクと再婚をしました。

 それから経営を見直し、ライマンからのアドバイスもあり、大きな種類の牛を育てたり、経営の再建をしました。そのかいあって、牧場は持ち直し、アナの亡くなった1995年まではアナの牧場としての経営が続きました。その後アナとライマンには子供がいなかったため、規模は小さくなりましたが、今でも牧場として経営を続けています。後にヘリテージセンターとなり、牧場の歴史、パウライダーの伝統などを伝え続けています。また、アナはアメリカン・ハートアソシエーションやHPA(ハワイ島の私立校)などへのチャリティーイベントなどを積極的に行っていました。アナランチは2005年にハワイ州の歴史登録財に指定され、2008年には国の歴史登録財に指定されました。

アナランチのヒストリックホームの中は、当時の内観のままです。コアのダイニングテーブルは一枚板のコア材を使っています 長椅子もコア材で作られたもので、ワシントンプレイスにあるかつてリリウオカラニ女王が使っていた椅子と同じ職人が作った長椅子です ヒストリックホームの中ではたくさんの調度品を見る事ができます
アナランチのヒストリックホームの中は、当時の内観のままです。コアのダイニングテーブルは一枚板のコア材を使っています
長椅子もコア材で作られたもので、ワシントンプレイスにあるかつてリリウオカラニ女王が使っていた椅子と同じ職人が作った長椅子です
ヒストリックホームの中ではたくさんの調度品を見る事ができます

 現在のアナランチは、アナが亡くなってからアナホール、駐車場、トイレなどが増設されています。ギフトショップはアナの家のキッチンだった場所なので、流しやストーブの跡などがあります。

 現在は火曜日〜金曜日、午前10時、午後1時のガイドツアーを開催しています。毎週木曜日の午前中には、アナホールではアヌエヌエ・キルターズがキルト会を催しています。

 9月はアロハフェスティバルの月です。各島では華やかなパウライダーが見られ、ハワイの伝統文化を今でも伝えています。機会があれば是非歴史的なフェスティバルでパウライダーをご覧になり、アナの事を思い出して下さい!

アナホールはウェディングやパーティなども出来る素敵なホールです。ここでキルト会も開かれます ギフトショップはツアーの受付もしています ヒストリックホームは緑の草原にあります
アナホールはウェディングやパーティなども出来る素敵なホールです。ここでキルト会も開かれます
ギフトショップはツアーの受付もしています
ヒストリックホームは緑の草原にあります


Anna Ranch(アナランチ)
65-1480 Kawaihae Road
Kamuela, HI 96743
Tel: 808-885-4426(英語のみ)
ホームページ: http://www.annaranch.org
email: info@annaranch.org
営業日: 火曜日〜金曜日10時〜15時
ツアー: 火曜日〜金曜日、10時と13時(英語のみ)。要予約。
料金は$10

By アン


参考資料:
Hawaii’s Incredible Anna by Ruth M. Tabrah – Press Pacifica

facebook始めました!:
https://www.facebook.com/pages/Annes-Hawaiian-Quilt/681572441861121


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いままでアンさんがこのコーナーで紹介してくれた歴史的なハワイアンキルトが残る場所や、キルトのモチーフになる植物に出会える植物園も紹介されているので、キルターだけでなく、ハワイの歴史や文化に興味のある方にもぜひ目を通していただければと思います。


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