キルト・パラダイス　第116回「シダのキルト」

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第116回「シダのキルト」

アン

ファーン（シダ）

　皆様アローハ！

　ハワイは常夏というイメージがありますが、場所によっては毎朝、毎晩雨が降る場所がたくさんあります。貿易風の影響でカラッとした暑さのようなイメージもありますが、結構湿度が多くムシムシする日もあります。
そして100%陽の当たる場所だけではありません。

　今日はハワイで見られるシダとシダのキルトをご紹介しましょう。

　マノア渓谷は毎朝、毎晩雨が降ります。マノアだけではないですが、ハワイではあちらこちらでたくさんのシダを見る事ができます。マノア近郊のトレッキングに行くと必ず見る事ができます。

　パラパライというシダはハワイの固有種のシダです。フラの女神ラカの為の祭壇に、レフア、マイレ、ハナペペ、イエイエと共に使われています。

　他のシダと違い、少し多めの毛に包まれています。細かいところがレースのようであり、ハワイアンキルトのデザインにはとても細かく大変ですが、よく使われるモチーフです。

パラパライの葉

パラパライのデザインのハワイアンキルト

　ラウアエというシダはブツブツが葉に付いているので、とても見つけやすいです。こちらはハワイでは「可愛い」という意味があります。香りのシダと言われているくらい、マイレと似たようなバニラのような香りがします。ラウアエというハワイ語の名前が付いていますが、こちらは外来種のシダです。

　香りが良いのでレイやアレンジメントなどにも使われています。

　ブツブツのところがハワイアンキルトでは表現しやすいデザインです。私のキルトではブツブツの所は大きめの玉止めをしてみました。小さなビーズでも可愛いですね。このようなフレームに入れる壁掛けなどでしたら、ブツブツがあっても素敵な飾りになります。

ラウアエの葉

ラウアエのデザインのハワイアンキルト

リリウォカラニ女王の使われていたコアのベッドとメアリイ・カラマさんが作られたクラウンフラワーのハワイアンキルト

クプクプ

　クプクプはハワイ語で、すべてのシダの総称という意味があります。

　ですが、その意味だけではなく、刀のように細長いことから、英語ではスウォード・ファーンと呼ばれるシダの一種でもあります。ハワイは溶岩で出来た島ですが、溶岩が冷えて、すぐに溶岩の上に育つ植物の一つがクプクプと言われています。地面からそそり立つようにクプクプは大きくなり、成長がとても早いと言われています。

　カウアイ島のシダの洞窟に下がっている（今はかなり少なくなってしまいましたが）のもクプクプです。

ハープウ

　ハープウというのもシダですが、こちらのシダは2m近く背が高くなります。ハワイ島のキラウエア火山の回りにはオヒア・レフアと共存しているハープウの林も存在します。ハープウはハワイの固有種のシダですが、多湿という気候の中ではなく、乾燥した気候の中で大きくなります。シダは地面からそこまで背が高くないというイメージがありますが、このハープウは木となります。

　このシダの茎はでんぷん質なので、昔は豚のエサにしたと言われています。また、飢えをしのぐためには、人間さえもハープウを食したとも言われています。

　他にもモア・ピピ、ウキウキ、エカハなどなどまだまだハワイには約8,000種のシダが存在すると言われています。私がここで少し紹介させていただいたシダは本当に最初の数点なので、ハワイでトレッキングなどに行かれる際には地面の近くや目の高さ、それよりも高い位置をよく見て、シダを見つけてみるのも楽しいと思います。

　ハワイアンキルトではまだ少ししかデザインを作っていませんが、今後シダの林などのデザインを作ってみたいと思っています。

モア・ピピ

ウキウキ

エカハ

By　アン

参考資料：In Gardens of Hawaii by Marie C. Neal

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全32ページ　180円

フラ、レイと並び、ハワイの文化を象徴するハワイアンキルト。その誕生から今日に至る歴史を通じ、キルトに込められたさまざまなメッセージを教えてくれる。実践編では、ハワイアンキルトの約束事や用語、道具などの解説をはじめ、作品制作にあたって注意すべきことなどを、写真を用いながらわかりやすく解説する。また、ハワイ各島を代表する植物と色をテーマにした作品紹介などもある。巻末にはキルト教室とアンティ（先生）の、ハワイ文化における関わりについてページを割いている。

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