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歴史の謎に迫る (2)
近藤純夫

航海の理由


皮下脂肪は四肢に蓄えられている

 なぜポリネシア人たちはマルケサスやタヒチを発ち、不確かな情報を頼りに、名も知らぬ彼方の島を目指したのでしょうか。その理由は定かではありません。飢饉や干ばつが続いて住人たちに新天地が必要になったからでしょうか? あるいは伝染病が蔓延して島民が存亡の危機を迎えたのでしょうか? あるいは戦争に負け、自分たちの領土を譲り渡すことになったのでしょうか? どれも可能性はありそうですが、おそらくはもっとふつうの理由だったと思われます。高度に発達した長距離航海術を背景に、ポリネシア社会には探検的精神が根づいていたに違いありません。彼らは新世界を目指して旅立ったのだと思われます。


タヒチ島マタヴォイ湾 (1768年)

 ではその根拠はなんでしょう。それは彼らの体にあります。ポリネシア人の源流は南アジアに遡ることができますが、南アジアの人たちの体格はわたしたち日本人とそれほど変わりません。ポリネシア人に巨体が多いのにはわけがあるのです。彼らが大洋を航海するのに用いた船はアウトリガー(舷側から張り出した腕木のこと。その先端に浮き木をつける)カヌーですが、これは波のしぶきを完全には防いでくれません。夜間や長距離の航海ではどんどん体温を奪われてしまいます。そこで彼らは皮下脂肪を厚くすることでこの問題を乗り越えようとしました。

造りかえられた身体


マルケサス諸島タフアタ島 (1774年)

 ただし、彼らの体全体に脂肪がついているわけではありません。人間の体の中でもっとも寒さに敏感なのは胴体の部分ではなく四肢なのですが、寒さに強い人種や特定の家系の人たち、たとえばエスキモーや海女たちはみな四肢に平均よりはるかに多くの皮下脂肪を蓄えています。ポリネシア人の場合も、たくましい四肢は脂肪の塊ですが同じようにたくましくみえる胴体部分は筋肉の方が多いのです。


カヌーを舫うために開けられた穴

 少し遠回りしてしまいましたが、快適な気候に住んでいた彼らが皮下脂肪をつける理由は生活のなかで長距離航海が大きな部分を占めていたためです。島と島との交流はすべてカヌーで行われていたでしょうから、航海のない生活は考えられなかったのです。ポリネシア人たちは長い歴史のなかで長距離航海に適した体質を獲得していったとすれば、彼らがエキスパートとして、航海に関わるさまざまな知識を獲得し、わたしたちの想像を超える移動を行ってきたことは十分に考えられるでしょう。

島を発見する


噴煙は遠方からでも確認できた

 長い航海のすえ、ポリネシア人は鳥たちがやってきたと思われるあたりに行き着いたでしょうが、もちろん、正確にその場所を割り出すことは不可能でした。彼らは星を航路の目印にする、スター・ナビゲーションに秀でていましたが、新島探しの長距離航海では、およその距離と方角が分かっていたに過ぎません。おそらくは数百キロから千キロの範囲のどこかに島があるだろうという程度の精度だったと思われます。彼らはそこからどのように島に接近していったのでしょうか?


日が暮れると星が航海を導いた

 ひとつには海流の変化を読みとるという方法があります。当時のハワイ諸島、なかでもハワイ島とマウイ島は活発な火山活動を続けていた可能性が高く、溶岩で熱せられたり、ミネラル分が増えた潮は異なる色の帯を海面に浮かべていたことでしょう。この帯は数百キロに渡って南や東に伸びていた可能性があります。ポリネシア人の船乗りたちはこれに気づいたかもしれません。さらに接近すると、大気のなかにガスの臭いを感じたり、遠くに立ちのぼる噴煙を目撃する可能性が高くなります。また、噴火が爆発性を帯びていた場合は音が聞こえたり火山灰が降ってきたことでしょう。

 ポリネシア人たちは一度の航海で新島を発見したのではないかもしれませんが、このようなプロセスを経てハワイ諸島を発見しただろうと思われます。

次回(1月16日)は「鳥たちの世界」の第1回としてハワイミツスイを取り上げます。

第1回 ダイヤモンドヘッドに登ろう (1) 2002年8月1日
第2回 ダイヤモンドヘッドに登ろう (2) 2002年8月15日
第3回 風と雨と虹の話 (1) 2002年9月5日
第4回 風と雨と虹の話 (2) 2002年9月19日
第5回 花物語 (1)

2002年10月3日

第6回 花物語 (2) 2002年10月17日
第7回 火山と溶岩 (1) 2002年11月7日
第8回 火山と溶岩 (2) 2002年11月21日
第9回 歴史の謎に迫る (1) 2002年12月5日

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