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サイミン
近藤純夫
 サイミンはハワイではマクドナルドや ZIPPY'S のメニューにもあるほど、よく知られるローカルフードのひとつです。店によってトッピングも味付けも微妙に異なりますが、出汁のとり方など、基本的な部分は共通ですから、どのようなものを食べてもサイミン独特の外観と味を楽しめます。

 しかしその起源はというと不確かな要素が多く、いまも真相は分からないというのが実情です。サイミンという食べ物はハワイ以外のどの国にも存在しませんが、ラーメンやフォーなど、似た食べものはあります。東南アジアの食文化が形を変えてサイミンに影響を与えたことは間違いありません。

1プラス1カフェ(ハワイ島ヒロ)
1プラス1カフェ(ハワイ島ヒロ)
クヒオ・グリル(ハワイ島ヒロ)
クヒオ・グリル(ハワイ島ヒロ)

 サイミンの起源については、移民文化が浸透しはじめた20世紀初めに、日本人労働者が簡易な食事として独自に作り上げ、その後、アジア各地の嗜好を加味して、今日のレシピになったと言われます。ただし、麺は中国麺を使ったという説と、独自に作ったとか、味付けには中国人の嗜好が加えられたという説もあります。広辞苑を引くと中国で細麺と書かれていますが、このような中国語は当時存在しなかったとも言われます。

ブルー・ジンジャー・カフェ(ラナイ島ラナイシティー)
ブルー・ジンジャー・カフェ(ラナイ島ラナイシティー)
クヒオ・グリル(ハワイ島ヒロ)
オハナ・ダイナー(カウアイ島カパア)

生麺
生麺
 語源については日本語起源というものの他に、ローカルな言葉から作られたとか、中国語をアレンジしたというものがあります。いずれが起源であるかはともかく、1920年代には、すでに今日の表記が登場しています。エビやカツオ出汁に、少し伸び過ぎの麺、その上にカマボコと白菜、浅葱のみじん切りなどを生のままのせ、マスタードを添えるというのが、サイミンの基本です。この他、店によっては玉子焼きやキャベツ、スパムなどが用いられることがあります。

 麺は独特でコシはあまり強くなく、うどんやパスタのようにも感じますが、いちばん近いのはラーメンの麺でしょう。スープは基本的にエビ、カツオ、昆布などが用いられ、鶏や豚、牛のラードなどは用いられませんが、焼き鳥やチャーシュー、玉子焼きなどをトッピングします。

スープ・ベース(日本からの輸入品)
スープ・ベース(日本からの輸入品)
 ラーメンと同じく、サイミンには多くのバリエーションがあります。ワンタン・サイミン、チャーシュー・サイミン、キムチ・サイミンなどのほか、冷やし中華に似たコールド・サイミンや、焼きそばにしたフライド・サイミンなどもあります。

 サイミンはハワイの食文化として深く根づいていますが、専門店と呼ばれるものはせいぜい20軒程度でしょう。たいていは数あるメニューのひとつして、プレートランチなどとともに提供されています。袋麺やカップ麺(インスタントではありません)、出汁(スープ・ベース)なども販売されていますが、あまり多いとは言えません。

プレンティー・サイミン(児童書)クリックするとAmazonからKindle版が購入できます
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 サイミンの店として外すことのできないのはシローズ・サイミンズ・ヘブンです。ここには何と64種類ものサイミンがあり、毎日食べに行っても2ヶ月はかかります。(笑) コンテンポラリーなメニューが特徴で、前ハワイ州知事のリンダ・リングルや、人気TVレポーターだったロン・ミズタニの名を冠したサイミンもあります。また、少し特殊ですが、20ドルもするハムラ・サイミンのスペシャル・サイミンや、洗面器のようなサイズで出てくるケンズ・ハウス・オブ・パンケーキのスモウ・サイミンのなどもあります。後者は客に運ばれるときにドラがなります。すると常連客は一斉に「スモー!」と言って笑いが起こります。しょうもないものを注文するやつがいるなという、ジョークのような儀式が日常になっているのです。

カウカウ(レシピ本)
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 価格的にはマクドナルドの3ドル以下や Cafe100 の3ドル半のものから、サム・チョイズの約17ドルという豪華なものまでさまざまです。いずれにしてもハワイのサイミンは、日本のラーメン文化に通じるものがありますね。

 サイミンに関してはいくつか本も書かれています。とくに絵本に秀逸なものが多く、なかでもプレンティー・サイミンはお勧めの1冊です。原書(紙版)の入手は難しいでしょうが、日本でも解禁となったアマゾンのキンドル版がリーズナブルな価格です。レシピの本としてはカウ・カウなどが知られています。


 トップページの画像はケンズ・ハウス・オブ・パンケーキのスモウ・サイミンです。次回はマウイ島のケアリア・ポンド国立野生生物保護区についてお話します。


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【ハワイの食文化】
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