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フィッシュポンド
近藤純夫
カヒナポーハク・フィッシュポンド−遠景(モロカイ島)

 ハワイの人々は魚に特別の思い入れがあったようです。人々は禁漁期を設けるだけでなく、特定の魚については食べることのできる人を限定しました。また、ロコ・イ・ア(Loko iʻa)と呼ばれるフィッシュポンドををつくって魚を確保しました。周囲を海に囲まれているハワイの島々は魚を豊富に収穫できたはずですが、なぜ、このように徹底した管理をしたのでしょう。その背景にはハワイ社会に浸透したカプ(規則)があります。

 カプを行なってまで魚の収穫に規制をかけた理由のひとつは、前回お話ししたアフプア・アです。自治体の最小単位ともいうべきアフプア・アは、利用できる海岸線と海が限られていたため、獲れる魚の量にも限りがあったからです。もうひとつの理由は主に信仰に由来するものです。ハワイの人々はキノ・ラウ(kino lau)といって、神々や先祖の霊が万物のさまざまなものに形を変えてこの世の人々を見守っていると信じていました。むやみに殺生をすることは許されなかったのです。そこでいくつものカプをつくり、獲ることのできる魚の種類や獲る時期などを細かく定めたのです。大首長(アリ・イ・ヌイ)でさえその例外ではありませんでした。

ニアウパラ・フィッシュポンド
(モロカイ島)

 人々は確実に魚を獲るため、フィッシュポンドをつくりました。さまざまな制約のある社会では、安定的に魚を供給してくれる場所が不可欠だったからです。フィッシュポンドというのは浅瀬に石を詰んで海を取り囲んだものです。石壁の数カ所を周囲より少し低くし、満潮時の高さに近くしておきます。するとそこから魚が入りこむという、自然の営みをうまく利用した仕組みです。言ってみれば大型の生け簀です。ハワイの人々はこれによって一定量の魚を確保したのでした。

 フィッシュポンドは生け簀としての役割だけでなく、養殖池としての役割も担っていました。また、特定の人だけが口にできる魚も育てられました。たとえば、モイ(moi / Polydactylus sexfilis)のように、首長しか食べられない魚がありました。

アレココ・フィッシュポンド
(カウアイ島)

 フィッシュポンドはいまも各島に残されています。大半は消失したか朽ちかけていますが、いくつかは形を変えて活用され、いくつかは伝統漁法を復活させるために利用されています。伝統的な方法でもっともフィッシュポンドを活用しているのはモロカイ島です。最盛期には70以上のフィッシュポンドがありましたが、いまもそのうちの何割かを日常的に使用しています。また、カヒナポーハク・フィッシュポンドのように、ハワイ文化の実地教育用としても利用しています。

 カウアイ島にはアイヌ神話に登場する小人コロボックルのようなメネフネ伝説があります。(*1) メネフネは昼間寝て夜に行動し、一夜でフィッシュポンドやヘイアウ(神殿)、用水路などを造ったと言われます。島の東部を流れるワイルア川の下流には、メネフネたちのつくったとされるアレココ(ʻAlekoko)ポンドと呼ばれるフィッシュポンドがあり、アマアマ(ボラ)やアヴァ(サバヒー)などを養殖していました。

*1: 小人ではなく、少数民族という説もあります。メネフネ神話はハワイ独自のものではなく、ポリネシア全体にあります。タヒチではマナフネと呼ばれていました。

ワイピオ渓谷のフィッシュポンド跡(ハワイ島)

 オアフ島では風上海岸側にいくつものフィッシュポンドがつくられました。なかでもヘ・エイアやワイカネ地区にあるフィッシュポンドはよく知られています。また北のカフクには現代のフィッシュポンドとも言える大規模な養殖池が連なっています。

 マウイ島のカフルイ空港近くにはカハナ・ポンドと呼ばれるかつてのフィッシュポンドがあります。現在は野鳥公園として知られていますが、この池も、マウイの大首長が魚を安定的に確保するためにつくらせたものです。キヘイの北にはケアリア・ポンド国立野生生物保護区があります。こちらもカハナ・ポンドと同じく、かつてはフィッシュポンドとして用いられました。

カハナ・ポンド(マウイ島)

 ハワイ島ではワイピオのフィッシュポンドがよく知られています。ワイピオ渓谷は3方を崖に取り囲まれ、いくつもの滝が流れ落ちる自然の豊かな場所でしたから、カメハメハ1世など、歴代の首長はこの地で暮らしました。現在はほとんど活用されていませんが、ここにもかつてはいくつものフィッシュポンドがつくられました。このほか、カイルア・コナにはカロコ-ホノコハウ国立歴史公園があり、園内のフィッシュポンド跡を見学できます。

トップページの画像は造成中のカヒナポーハク・フィッシュポンドです。
次回はポリネシア・カルチャー・センターについてお話しします。

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