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レイ(2)
近藤純夫
ロケラニ

各島のレイ

 20世紀に入ると各島にシンボル・レイが誕生しました。カウアイ島は紫のモキハナ、オアフ島はイエローオレンジのイリマ、モロカイ島はシルバー・グリーンのククイ、ラナイ島はゴールドのカウナオア、カホオラヴェ島はシルバー・グレーのヒナヒナ(*1)、マウイ島はディープピンクのロケラニ(ダマスク・ローズ)、ハワイ島は赤いオヒア・レフアです。ちなみに、ニイハウ島は植物ではなく、ププと呼ばれる白い貝となっています。各島を象徴するレイを編むときは、これらの花や貝を用います。

*1 ヒナヒナのレイには2種類あり、パイナップルの仲間のスパニッシュ・モスを用いる場合と、ビーチ・ヘリオトロープが用いられる場合とがあります。

レイに用いられる主要な植物

イリマ

イリマ

  山吹色の花はカメハメハ王朝ではとくに珍重されました。半神マウイが怪物を退治して母である女神ヒナを助けたとき、ヒナはその喜びを表すためにイリマでレイをつくり、自らを飾ってマウイに感謝の意を表したという神話や、森やフラの女神として知られるラカがイリマに姿を変えたという話などが残されています。黄色の花は時間とともに山吹色からオレンジ、赤へと変化します。イリマのレイには、「あなたを誇りに思う」という意味があります。この花のレイは妊婦に渡すレイと同じく、環状のものではなく、開いたものをかけるべきだとする人もいます。イリマは花冠が小さく薄いので幾重にも回してかけられることが多いのですが、90cmほどのレイでおよそ700本もの花が必要となります。また、花はすぐに色を変えることに加え、短命でもあるので、早朝に摘んで暗箱に保管し、使用する直前に取り出すなど、他の花のレイに較べて多くの手間がかかります。

プア・ケニケニ

モキハナ

  漏斗状の花は咲きはじめは白く、次第に山吹色へと変化します。甘い香りは人気が高く、レイとしてはもちろん、ココナッツオイルの香りづけや、庭木としてもよく見られます。プア・ケニケニがハワイ(オアフ島)に導入されたのは19世紀末のことです。名称は「10セントの花」という英語をハワイ語に置き換えたものですが、かつてこの花で作られたレイが10セントで販売されていたことに由来します。いまでこそ安っぽい語感がありますが、当時、10セントは高価なものを表す代名詞でした。クラウン・フラワーのレイは60個以上の花で編まれ、プルメリアは50個以上の花で編まれて、いずれも25セントで売られた時代に、プア・ケニケニのレイは花ひとつが10セントもしたためです。

ヒナヒナ

マイレ

  花はとても小さく、葉にも大きな特徴はありませんが、葉と茎の裏側に含まれる白い樹液にはバラのような香りがあり、古くから重要な儀式の際にレイの素材として用いられました。また、カパ(樹皮から作られた布)の香り付けとしても用いられました。フラの女神として知られるラカは意のままにマイレを動かすことができたと言われます。夜にマイレの香りがするときは、黄泉の国の霊たちが通過する徴だとも信じられました。戦の終了の際には、マイレを結びあい、互いの信頼を示したと言います。

パラパライ

  香りがよく、フラの舞台装飾やレイの素材として使われます。また、ペレの末妹である女神ヒイアカ・イカポリオ・ペレがパーウー(腰当て)にしたとも言われます。和名をコバノイシカグマと言いますが、カグマとはシダの古い呼び名です。ハワイでは標高200mから2000m近くの冷涼な土地に分布します。

カウナオア

ピカケ

  ピカケはリリ・ウオカラニが王朝継承者として指名したカイウラニ王女に深い縁があります。ピカケとはハワイ語でクジャクのことですが、クジャクとジャスミンを深く愛したカイウラニ王女の死後、ジャスミンの花はピカケと呼ばれるようになりました。この花で作られたレイは結婚式において新婦がかけることでも知られています。

プルメリア

  前回も書きましたように、プルメリアは英名を Temple Tree というように、墓地に植えられることの多い花であることから、結婚式などでは使えませんが、美しく甘い香りを放つ花はとても人気が高く、街路樹としてはもちろん、フラや日常的な装飾、あるいは観光客用などにもよく用いられます。

オヒア・レフア

チュべローズ

  とても香りが強く、しかも長持ちするため、レイとしての人気が高い花のひとつです。月下香という和名からもわかるように、夕暮れになると香りを放つことで知られています。ハワイでは結婚式の際、新婦の頭を飾るレイとしてよく見られます。

デンファレ

  とても日持ちが良いため、ハワイはもちろん、日本でも生花のレイではもっともよく用いられる花です。正式な名前はデンドロビウム・ファレノプシスと言いますが、これはコチョウラン(ファレノプシス・ハイブリッド)に似ていることから名づけられたものです。ハワイでレイに用いられるのは、このデンファレと、マウナロア(Maunaloa Vanda Orchid)がよく用いられます。花弁の白いものは結婚式でも用いられます。二重のレイは花婿と花嫁の母親が、一重のレイは媒酌人がつけます。

 今日では、レイの素材は花に限らず、実や葉、鳥の羽毛、リボン、キャンディー、ゴルフボール、紙幣など、首にかけられるものはなんでも利用されるようになりました。

レイ・デー

ククイ

 ハワイでは5月1日になると、メイ・デーならぬレイ・デーが開催されます。1928年に作家のグレース・T・ウォーレンが May Day is Lei Day. と提唱したことに始まります。その後、第二次世界大戦の一時期を除き、今日まで80年の長きにわたって続いています。この催しは当初ダウンタウンで行われていましたが、その後、カピオラニ公園とヌウアヌの王室霊廟公園で開催されるようになりました。当日は創作レイのコンテストなど、さまざまななレイのセレモニーが行われます。レイ・デーは1929年よりホノルル市の公式行事となり、2001年からは州全体の公式行事となりました。

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次回は「トレイルを歩く(6)」と題し、マウイ島のワイアコア・ループ・トレイルを紹介する予定です。

【ハワイの文化】
 ペトログリフ 2003年6月19日
 ハワイの楽器 (1) 2003年8月7日
 ハワイの楽器 (2) メレとフラ、イプ 2003年8月21日
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