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ボルケーノハウス(その1)
近藤純夫
1846年に建てられた最初の小屋
1846年に建てられた最初の小屋
 ハワイ火山国立公園はキラウエア・カルデラをはじめとする火山の活きた歴史を観察できる場所として世界遺産にも登録されています。そのダイナミックな営みはハワイ王朝時代から大きな関心が寄せられ、なかでも活発な噴火活動を続けていたカルデラ内のハレマウマウ・クレーターには火の女神ペレが住んでいると信じられていました。

 19世紀に入って白人たちが住みつき、カメハメハ大王が亡くなると、ハワイの伝統文化は一変します。当時ハワイ島の女性首長(アリイ)だったカピオラニは、1824年にここでキリスト教の神へ祈りを捧げたのです。この行為にハワイの人々は恐れおののきましたが、ハレマウマウの活動は何も変わることはありませんでした。

壁面にオヒアの材が使われた1866年の建物
壁面にオヒアの材が使われた1866年の建物
 キラウエアは、このときから信仰の対象ではなく、科学的見地から、あるいは観光地としての関心が大きな比重を占めるようになりました。カピオラニは、この1824年に草葺き小屋をカルデラ近くに建てました。これが今日のボルケーノハウスの始まりです。この建物は限られた人物がゲストとして招かれるだけでしたが、その後、1846年にヒロ在住の商人だったベンジャミン・ピットマンがさらに大きな草葺きの小屋に建て替えました。大きいと言っても、3.6m×5.4mの1部屋しかない小さな宿でした。

 1866年に建物は拡大され、名前も「ボルケーノハウス」と付けられました。屋根は草葺きでしたが、壁面にオヒアの木を用いた丈夫な構造になり、4つの家具付き客室、居間、ダイニングルームが作られました。面白いのは庇の下にカヌーが置かれていたこと。雨水を溜める目的だったようです。作家のマーク・トウェインは、山奥に快適な宿があることに驚いたという文章を書いています。小屋の離れとして、水蒸気の火山ガスを利用したサウナのようなものもあり、紀行文学者のイザベラ・バードが『ハワイ紀行』のなかでその体験を語っています。

バードが描いた当時のハレマウマウ・クレーター
バードが描いた当時のハレマウマウ・クレーター
 「建物から300メートルほど離れたところにイオウが噴き出す蒸し風呂があるという。ひどい疼きや痛みによく効くし、クレーターまで10キロの道のりを歩いた後の凝りもすっかりほぐしてくれるという主の強い勧めで、わたしは呻きながらも足を引きずってでかけた。ところがこれがまったく気ままなしろもので、こちらの希望どおりにはならない。というより、ギルマン氏がこんな危険地域でのんびりと湯治をすることを勧める気が知れない。わたしは、いつキラウエアが気まぐれを起こし、火傷を負わせたり、吹き飛ばしたりするのかと気が気ではなかった。楽天家のギルマン氏だけが天災から逃れられるわけではないだろう。それはともかく、イオウの蒸気を吹き出す割れ目には適当な小屋が架けてあった。なかには深さのある箱が設置され、引き蓋には首を通す穴があった。中に坐って蒸気の生贄にされる仕組みらしい。わたしは加減を見ようと迂闊にも手をかざしたが蒸気は高温で、たちまち皮が剥けてしまった。ギルマン氏の感情を害さないよう、この無責任な考案品にたいする彼の並々ならない思い入れに配慮して、わたしは氏が処方してくれた時間まで小屋に留まり、それからできるだけ脚を引きずらないようにして小屋を出た。(※『イザベラ・バードのハワイ紀行』より)」

現在のボルケーノハウスに飾られているペレの絵
現在のボルケーノハウスに飾られているペレの絵
 1876年、ボルケーノハウスのオーナーは椅子の革張り職人だったジョージ・ジョーンズに代わりました。この頃になるとハレマウマウ見物はポピュラーになり、建物の拡張に迫られました。翌年、ジョーンズは噴火活動を見下ろせるカルデラのすぐそばに西洋建築の新しいボルケーノハウスを造りました。建物の規模は30m×33mにに拡大しました。6つの客室(最大宿泊数は18名)、支配人室、居間とダイニングルームを備えた耐火仕様のレンガ建築で、キラウエア地域における最初の西洋建築でもありました。

 1891年にはビクトリア様式の観察室が2階部分に設けられ、14の客室が追加されました。1894年には専用の4頭立て馬車が用意され、ヒロから訪れる宿泊客の利便性を図りました。利便性が図られたと言っても、上りは2日間を要する行程でした。(帰路は6時間ほどでした。)その後1901年には、ハワイ鉄道会社が旅行代理店を設立しました。さらなる利便性を提供するためでしたが、鉄道が敷設されたわけではありません。

1902年のボルケーノハウス
1902年のボルケーノハウス
 20世紀に入ると、キラウエア一帯は、レクリエーションを中心とした景勝的な側面だけでなく、科学的価値や啓蒙など教育的な価値、経済的価値などが見直されるようになります。当時ホノルルに住んでいたビジネスマンで政治家でもあったロリン・サーストンは火山が好きだったこともあり、10年に及ぶロビイスト活動を行ってマウナ・ロア山頂からキラウエアを通過し海岸に至る広大な敷地をハワイ火山国立公園に指定させるのに大きな役割を果たしました。

 トップページは、1877年に建てられたボルケーノハウスです。次回は20世紀以降、今日に至るまでのボルケーノハウスの歴史(その2)をお伝えします。


フラの花100「フラの花100─ハワイで出会う祈りの植物」(平凡社)
全192ページ 1,890円(税込)


フラにまつわる100のハワイやポリネシア由来の伝統植物・花々を厳選し、それぞれの植物や花々の文化的背景、歴史、伝承などをわかりやすく解説した楽園ハワイの植物ガイドです。

フラやキルト、レイなどはもちろん、ハワイの文化を知りたい人には是非ハワイにお持ちいただきたい一冊です。この本を片手に旅をすれば、きっとハワイがもっと好きになることでしょう。


アロハカワラ版「アロハブック・シェルフ」でも紹介しています
>>> フラの花100─ハワイで出会う祈りの植物

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ボルケーノ・ハウス ボルケーノ・ハウス
世界遺産ハワイ火山国立公園内のキラウエア火山ハレマウマウ・クレーターを臨む歴史あるホテル

ボルケーノハウス 日本公式サイト

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ボルケーノ・ハウス アクア・ホスピタリティー
ハワイ島には、ホテルに居ながら火山活動を感じることができるハワイ火山国立公園内唯一のホテルと、ハワイ島東部のノスタルジックな街並みが広がるヒロのホテルの、2軒のホテルがあります。

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