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花物語(28) ユーカリ
近藤純夫
スワンプマホガニーの森
スワンプマホガニーの森
 ハワイ諸島には材として活用する目的で多くのユーカリが植林され、比較的多くの場所でユーカリの森が見られます。近年になってから持ちこまれた木であるため、ハワイの景観にはそぐわない面もあるかと思いますが、オヒアやグァバと同じフトモモ科であること、花や葉が、一見するとマメ科のコアに似て見えることもあって、ハワイの暮らしにしっかりと根を下ろしているように見えます。ユーカリはハワイ語でパレアヴァ、エウカレキアなど、いくつかの表現がありますが、あまりハワイ語は用いられません。学名のユーカリ(ユーカリプタス)で呼ぶ習慣が定着しています。

 ハワイには数種類のユーカリがあります。なかでもレインボーガムと呼ばれる種類は、樹皮の美しさもあって人気があります。数量的にはスワンプマホガニーが多いのではないでしょうか。森を形成しているもののほとんどは、この種類です。それ以外には日本でおなじみのブルーガム(ユーカリノキ)などがあります。ユーカリは木材として日本にも輸入され、チップをパルブ用原料などにしています。熱帯の森林破壊のきっかけにもなりました。


 レインボーガムは、バグラスユーカリ(カメレレ)と呼ばれます。原産地はフィリピンのミンダナオ島からセレベス島、パプアニューギニアにかけてです。常緑の高木で、樹高は70mにもなります。幹の表面がいくつもの色で重なっているのが特徴で、ハワイには1929年頃に、フィリピンから植物園用として導入されました。

 生長は早く、5年で樹高20mに達します。心材は淡い赤褐色、または赤褐色で、辺材は桃色を帯びています。大型のものは内部に空洞があることが多いと言われます。ハワイでは牧場の森林化に用いられることが多く、ハワイ島のカロパ地区などが知られています。

ユーカリの葉と花
レイボーガムの樹皮
ユーカリの葉と花
ユーカリの葉と花

ボタンのような形状の実(ブルーガム)
ボタンのような形状の実(ブルーガム)
 ブルーガムは、日本でユーカリノキと呼ばれます。オーストラリア大陸からタスマニア島にかけてが原産で、3〜11月にかけて花をつけます。樹高は平均70mほどで、高いものになると100mにもなります。幹の径は3〜8m。外側の樹皮が剥落すると内側から白い樹皮が顔を出します。葉と幹、枝など、木全体に特有の芳香があります。材質は強靭で、耐朽性に富みます。日本にもっとも多いユーカリは本種です。

 ユーカリの仲間ではもっとも実のサイズが大きく、幅1.4〜2.7cm、長さ1〜1.5cmほどあります。蕾と実は白く粉を吹くのが特徴で、蕾と枝を結ぶ花枝はほとんどありません。梅などと同じですね。また、蕾は他の仲間と異なり、単独でつきます。葉は生長するとかなり大型で色が濃く、強い香りを発します。葉は青々としているのが特徴ですが、新葉は銀色に輝き、冬季には淡いピンク色となります。

 根の張り出しが大きく、ハワイでは家のそばに植えると、建物を破壊する可能性があると言われます。栽培は簡単で生長も早く、鉢植えでも1年で人の背丈を超えるほどです。本種には様々な薬効があり、葉をユーカリ茶として用いるほか、精油はすばらしい香りがあります。油分は個体のあらゆるところにあって、葉や枝を指で弾くだけでも香りが漂うほどです。ハワイでは木材として有望視され、各島に植林されましたが、産業的にははかばかしい実績を上げていません。


カウアイ島リフエのユーカリ
カウアイ島リフエのユーカリ
スワンプマホガニーの樹皮
スワンプマホガニーの樹皮
 スワンプマホガニー(ロブスタ)は、和名をオオバユーカリと言います。オーストラリア東部が原産で、樹高は15〜40m。白いボンボン状の花と葉には独特の芳香があります。20世紀の半ばから積極的に植林が行われていて、それは今日まで続いています。カウアイ島のコロアへ向かう途中にあるツリートンネルがよく知られています。

 ユーカリには一般にシネオールなどの殺菌作用がある成分が含まれていて、人体に有害な場合が多いのですが、本種は有害成分がほとんど含まれていません。

 英名をスワンプマホガニーというように、湿度が高く水分の多い沼地に分布します。生長速度はユーカリ類のなかではもっとも早く、脇芽を出しながら伸びます。剪定してもそれに負けることなく、枝を増やし続けるのが特徴です。ユーカリでよく見かける「地際(樹木などが地面と接するところ)の瘤」は、本種ではほとんど見られません。そのため、スギやヒノキのように真っ直ぐに伸びるのが特徴と言えます。スワンプマホガニーはユーカリ特有の機械油のような香りはないので葉を手でもんでも青臭いにおいしか感じることはありません。


 トップページはオアフ島のコオラウ山系に自生するユーカリの葉です。次回はハワイの宗教・祭事について「ヘイアウ(1)」と題してお話しします。



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