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花物語(27) ショウガ科の植物(その1)
近藤純夫
食用ショウガ
食用ショウガ
 ショウガ科には日本では食用ショウガをはじめ、ウコン(ターメリック)やミョウガなどが知られていますが、世界では、熱帯アジアとアフリカを中心に500種近くがあります。ショウガ科という科は比較的近年にできたもので、かつてはバナナやヘリコニアなどがあるバショウ科に属していました。葉が長く、丈の高いものもあったためです。しかし、葉脈の付き方が異なるだけでなく、草丈や花の形などに大きな違いがあります。

 ショウガ科の植物はいずれも根の部分にコブのようなもの(根茎)を作ります。よく観察すると、食べるショウガに似ていることに気づくでしょう。実際に根茎を切って内側の臭いを嗅ぐと、食用ショウガのような香りがします。根茎に強い香りのあるものは花や葉にも香りがあります。なかでも花は魅力的な甘い芳香を漂わせるため、ショウガ科の植物はハワイでも人気が高い植物のひとつです。

 今回は、ホワイトジンジャー(アヴァプヒ・ケオ・ケオ)、イエロージンジャー(アヴァプヒ・メレメレ)、カヒリジンジャー(アヴァプヒ・カヒリ)、ターメリック(オーレナ)を紹介します。これら4つのジンジャーはハワイでもよく知られていて、フラワーアレンジメントや、甘い蜜が子どもたちのおやつになったりと、人気の高いジンジャーです。


夕暮れどきになると強く香るホワイトジンジャー
夕暮れどきになると強く香るホワイトジンジャー
ホワイトジンジャー

 ホワイトジンジャーは和名をシュクシャ(ハナシュクシャ)と言います。インドからマレーシアにかけてが原産で、条件がよければ1mから2mほどに伸び、5〜6cmほどの花をつけます。花のまとまり(花序)は15cmから30cmほどです。花びらのように見える部分は雄しべの変化したもので、甘い芳香はハワイの人たちにも広く愛され、レイや観賞用、あるいは香水として欠かせぬ素材となっています。ホワイトジンジャーの芳香は夕暮れとともに強くなります。学名にある Hedychium はこの香りを表現したもので、ギリシャ語の「hedys(甘い香り)」と「chion(雪)」の合成語です。花は数日で落ちますが、夏場を中心に次々と花を咲かせます。ハワイ語のアヴァプヒとはショウガ科の植物のこと、ケオ・ケオは白色を意味します。繁殖力が強いため、ハワイでは有害植物に指定されています。日本でも庭花として、最近はよく見かけるようになりました。


甘い香りが子どもにも人気のイエロージンジャー
甘い香りが子どもにも人気のイエロージンジャー
イエロージンジャー

 イエロージンジャーにはとくに和名はありません。インドが原産で、花のサイズは6cm〜7cm。花のまとまり(花序)では20cm〜25cmほどになります。その芳香はホワイトジンジャーよりもさらに高貴な感じがあり、レイや切り花として人気があります。しかし繁殖力が強いため、ホワイトジンジャーと同じく、ハワイでは有害植物に指定されています。

 ホワイトジンジャーとイエロージンジャーはとてもよく似ています。名前にあるようにホワイトは白花、イエローはオレンジがかった黄色の花をつけますが、イエローはホワイトに較べると花冠が大きく、花弁にみえる部分(※雄しべの変化したもの)は少し小さいのが特徴です。イエローは茎の部分が赤みを帯びています。ハワイ語のメレメレとは黄色を意味します。


キラウエア火山に広がるカヒリジンジャー
キラウエア火山に広がるカヒリジンジャー
カヒリジンジャー

 カヒリジンジャーにはキバナシュクシャという和名がついています。ホワイトジンジャーがシュクシャですから、キバナシュクシャはイエロージンジャーに付ける方がわかりやすいですが、日本に紹介されたのが早かったためにこのような形になりました。
 カヒリジンジャーはホワイトやイエローと同じ多年草で、草丈は1.5m〜2.5m。花のまとまり(花序)は30cm〜50cmと、かなり大型ですが、花(雄しべの変化したもの)のひとつひとつは小さめです。ネパールからシッキムにかけてが原産と言われています。
 香りの弱いのが特徴です。ハワイ語のカヒリとは、ハワイ王朝が日本の毛槍にヒントを得て制作した徽章を指します。ハワイ名の付いた植物ですが、これは近年になって付けられたものです。カヒリジンジャーはジンジャー類のなかでもとりわけ繁殖力が強く、実際、ハワイ島のキラウエア火山周辺では大繁殖しています。日本でも外来生物法でリストアップされている要注意植物のひとつです。


大きな葉の陰から顔を出すオーレナ
大きな葉の陰から顔を出すオーレナ
オーレナ

  オーレナ(ターメリック)は草丈50cmほどの多年草です。葉は淡緑色で長さ20cm〜50cmあり、花は株から地上10cm〜20cmほどのところにあるので、よく見ないと見逃すほどです。地上部は秋になると枯れはじめ、翌年の春に芽を出しますが、この間に地下茎が発達します。大きな花に見える部分は苞(ほう)で10cm〜15cm、大振りの淡緑色の花弁のようなものが重なり合っています。それぞれの苞には3つの黄色の小花をつけます。ただし、苞の上部には花をつけません。太い地下茎はターメリックとしてカレーなどの調味料となります。ホワイトジンジャーやイエロージンジャーは成熟しても地下茎は白いままですが、オーレナは黄色からオレンジ色に変色し、ハワイでは染料としても用いられます。


 トップページはオアフ島のライアン演習林にあるイエロージンジャーの花と葉です。次回は花物語(25)と題し、ハワイでよく見られるユーカリについて、植物的な事柄とハワイの林業など、生活と関わる事柄をお話ししようと思います。


【ハワイの植物】
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