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カハヌ・ガーデン
近藤純夫
ピイラニ・ハレ・ヘイアウの石垣
マオ(ハワイアンコットン)染料や薬となった

 マウイ島の東端に位置するハナの町近くに、かつてホノマエレ(Honomaele)と呼ばれた聖地があります。カハヌ・ガーデンはこの聖地にあります。1972年にオープンした同園は前回のカハヌ・ガーデンと同じく、ナショナル・トロピカル・ガーデンによって運営されています。4平方キロメートルを超える敷地は植物だけでなく、ピイラニ・ハレ・ヘイアウと呼ばれる古代の巨大なヘイアウ(神殿)があり、考古学的にも重要な地域として知られます。現在、一帯はアメリカ国定歴史建造物(National Historic Landmark)に指定されています。

 ピイラニとは、かつてマウイを治めていた首長の名前で、16世紀頃に活躍したとされます。巨大な石垣は彼の住まい(ハレ)の土台となったもので、完成までに延べ12万8000人の人手を要したと言います。ヘイアウはこの石垣の一画にあります。一般にハワイはもとより太平洋地域最大のヘイアウと称されますが、このヘイアウは、そのような理由で、厳密には最大と呼ぶことはできませんが、下から見上げるスケール感は圧倒的です。ちなみに、この石組み過去に何度か崩壊しており、今日に見られる石垣は数十年前の作業で復元されたものです。

ヘイアウとヤシの木
ヘイアウに献げられた供物

 この聖地は19世紀に入るとカエレク・プランテーションという名のサトウキビ耕地となりました。1946年に耕地が閉鎖されると、ハナ牧場となり牛が放牧されました。この間に土地はひどく破壊されましたが、1972年に植物園としてオープンして以来、ハワイの伝統植物を展示する施設へと改革されていったのです。

 園内は大きく2つのエリアに分かれます。ひとつはパンノキの林です。ここには太平洋の20の諸島から120種類に及ぶ食用のパンノキを集め展示しており、その規模と種類は世界一です。カハヌ・ガーデンではこれらの品種を管理し、種の保存に努めています。

 もうひとつはカヌー・ガーデンと呼ばれるセクションです。ここにはタヒチやマルケサス諸島などから渡来したポリネシア人たちが持ちこんだ伝統植物が展示されています。

 パンノキと同様、およそ40種類に及ぶサトウキビ(コー)をはじめ、バナナ(マイア)やサツマイモ(ウアラ)、タロイモ(カロ)、ターメリック(オレナ)、カパと呼ばれる伝統衣類の素材となったカジノキ(ワウケ)などの伝統植物について、遺伝的な多様性を維持する試みが行われています。

園の入口周辺にあるパンノキ(ウル)の林
かつてこの地に植えられていたサトウキビ

 また、あまり知られていませんが、ここにはかつて100種を超えるヤシの木が植えられていました。いまは台風などでかなりの数が倒れてしまいましたが、それでもまだ多くの種類が残されています。

 カハヌ・ガーデンでは植物を展示するだけでなく、それらの植物がハワイの歴史にどのように関わったかについても、先人が残した知恵を後世に残すべく、さまざまな教育プログラムを実施しています。

 同園は植物園であると同時にハワイ人の聖地でもあるので、遺跡に対して敬意を表することを忘れてはなりません。足元の石は先人の墓である場合が多いので、動かしたり、登ったりしないように気をつけましょう。

 敷地には数名のスタッフがときおり顔を覗かせる程度ですから、自分の脚で歩くことになりますが、主要な植物には名前と由来を記したプレートがあり、その他の植物もおおよそは名前のプレートが付けられています。伝統植物(※カヌー・プラントとも呼ばれます)を覚えるよいチャンスです。

 カフルイはともかく、カアナパリやワイレアなどからカハヌ・ガーデンへ向かうには、車で2時間から3時間近く見なければなりません。開園は午前10時から午後2時まで(月曜〜金曜)と短いのでかなり早めの出発を勧めます。園内はゆっくり歩いて1時間ほど。入園料は大人10ドル。12歳以下は無料です。ガイドツアーも用意されていますが、英語のみとなります。

コウ(キバナイヌジシャ)食器や染料となった
ポーヒナヒナ 香料や薬となった


Kahanu Garden
ナショナル熱帯植物園事務所
3530 Papalina Road Kalaheo, HI 96741
ガイドツアー予約: (808) 332-7324
TEL: (808)248-8912
開園時間: 10:00-14:00(月〜金)
http://ntbg.org/gardens/kahanu.php

トップページの写真はカハヌ・ガーデンにあるピイラニ・ハレ・ヘイアウです。次回はカヌー文化(1)と題してお話しする予定です。

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