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ココヘッド散策
近藤純夫
進行左手下にハナウマ湾が広がる
進行左手下にハナウマ湾が広がる
 ワイキキ近郊の山と言えばダイヤモンドヘッドですが、その先にはココクレーターやハナウマ湾に並び、ココヘッドが控えています。この一帯は火山のクレーター、それを利用した植物園、サンゴ礁の発達した湾など、変化に富んだ自然環境が集まった場所としてホノルル市(郡)のココヘッド地域公園に制定されています。

キアヴェとハオレ・コアの灌木が続く
キアヴェとハオレ・コアの灌木が続く
  この地域はハワイ王国が誕生するとカメハメハ1世の所有となり、その後、1883年よりバーニス・パウアヒ・ビショップ財団が所有していました。ホノルル市は1928年にこの土地をわずか1ドルで購入し、今日の公園の原型が作られました。やがて勃発した太平洋戦争をはさみ、1950年には再び市民に開放されましたが、1956年に電話会社に権利の一部を譲渡しました。海底ケーブルを敷設するためです。サンゴ礁が破壊され、工事で洩れた油が湾全体を覆う事態となり、ハナウマ湾の環境は壊滅的な打撃を受けました。また、湾の入口が破壊されて海流が湾内の浸食を起こすようにもなりました。それらの問題を解決するため、1967年には海洋保護区に指定し、人工岩礁の設置や入場者数の制限、休日(24時間の閉鎖)の設置、環境啓蒙ビデオ視聴の義務づけなどを行ない、今日に見る美しい自然環境を取り戻しました。


背後に立ち上がるココ・クレーター
背後に立ち上がるココ・クレーター
 ハナウマ湾の生態環境やココクレーターについてのさらに詳しい話は別の機会に譲るとして、今回はココヘッドについてお話しします。よく間違われますが、一般にココヘッド・トレイルと呼ばれる軌道跡の登山道はココ・クレーターの山頂に向かうもので、正しくはココクレーター・トレイルです。ココ・ヘッドと間違えられるのは、一帯の総称がココ・ヘッド地域公園であり、登山口の前にその名前が表示されているからでしょう。

 ココヘッド山頂へはハナウマ湾の駐車場またはナーヴィリヴィリ・ストリートから、反対(南西)方面に登ります。登山道はとてもなだらかでそれほど体力を必要としません。標高は196m、距離的にも短く、登り30〜40分、下りは20〜30分を見ておけば良いでしょう。ココヘッド周辺の景観はいまから10万年ほど前に出現しました。一帯はココ・リフトゾーン(地割れ地帯)と呼ばれ、オアフ島ではもっとも若い火山活動地域です。(※厳密にはこの火山活動は終息していないという説もあります。)

ボードウォーク(木道)
犬たちと散歩をする住人
 この火山活動で流れ出した溶岩が周辺の地域を形成し、ほぼ現在の形となったのはいまから4万年ほど前とされています。小規模な溶岩流の噴出はその後も続き、放射性炭素年代測定によれば、もっとも新しい溶岩はいまから7千年ほど前のものにすぎません。オアフ島でもっとも古い地層が約350万年前であることを考えると、この島は海上に姿を現してから今日に至るまで、間断なく噴火を繰り返してきたと言うこともできます。ちなみに、ハナウマ湾もクレーターのひとつで、ダイヤモンドヘッドと同じく、海面直下で水蒸気爆発を起こして今日の形状が出現しました。いまから3万2千年ほど前のことです。


ボードウォーク(木道)
山頂直下の風景
 登山口から山頂への道は簡易舗装がされていて、比較的軽装でも問題なく登れますが、日中は日差しが強く、周囲に陽光を遮るものがほとんどありませんので、帽子やサングラス、水を忘れないように。お勧めは早朝か夕暮れどきです。

 ココヘッドのなだらかな尾根道を登ると、ハワイカイの町並みと、遠くにダイヤモンドヘッドが見えてきます。周辺の灌木はほとんどがキアヴェとコアハオレで、いずれも乾燥に強い植物です。この他に、繁殖力が強いため有害植物に指定されているクリスマスベリーもときおり見られます。

無線施設
無線施設
 山頂直下の建物が見えはじめると、進行左手に緑に被われた盆地状の景観が現れます。ここはかつてクレーターだったところで、ノノウラというハワイ名が付けられています。ノノもウラもハワイ語で「赤い」という意味があります。クレーター内の溶岩はハワイ諸島に一般的な玄武岩ではなく、凝灰岩に覆われています。そのため、周囲に較べて明るく、褐色の溶岩が赤っぽく見えたのかもしれません。ハワイの神話によれば、このクレーターは火の女神ペレが創ったとされます。


山頂北東部の景観。マカプウ岬に至る
山頂北東部の景観。マカプウ岬に至る
 ノノウラ・クレーターのさらに下方にもうひとつ緑に覆われた円形の場所があります。ここもかつてクレーターだったところで、イヒイヒラウアーケアという名前が付いています。

 山頂近くの登山道がY字に分かれたところには無線施設があります。ここを左に進むと、ハナウマ湾の南端にあたるパイオルオル岬へ、右を進むと山頂に向かいます。


 山頂はクアモオオカーネ(※カーネは四大神のひとり。クアモオは「トカゲの背中」という意味があります)と名づけられ、石を積み上げただけの簡素なクアフ(祭壇)が設置されています。この山頂から見るダイヤモンドヘッドとワイキキの景観はとても美しく、一見の価値があります。

ダイヤモンドヘッドとサンセット
ダイヤモンドヘッドとサンセット
ココヘッドと周辺地図
ココヘッドと周辺地図

 トップページは山頂直下の景観です。次回はハワイ島のマヌカ州立公園についてお話しします。


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【ハワイの自然】
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